普通の主婦が39歳でエグゼクティブに支持されるトレーナーになるまで【Google本社エグゼクティブトレーナー・Sayaさんの連載スタート!】

By Saya

やらずにはいられないほど楽しい「エンタメ」と、心と体の栄養になる「フィットネス」をかけ合わせた、FYTTEのトレンドワード「エンタフィット」。今回紹介するのはそんなエンタフィットな要素満載、アメリカを拠点に活躍するSayaさんが考案した『globody(グローボディ)』です。現在はGoogle本社の人気エグゼクティブトレーナーのSayaさんですが、30代半ばまではフィットネスとは無縁の専業主婦。そこから縁あってフィットネストレーナーになり、フィットネスが生活の一部になって、想像もしていなかったような人生が始まったと言います。連載第一回目は、そんなSayaさんとフィットネスの出会いについてご紹介! Sayaさんの人生経験には、心と体と生き方を変えるヒントが詰まっています。

思いたったときが変われるチャンス!フィットネスを仕事にしたいという強い想いが人生を後押し

長男を抱っこしているSayaさん。この頃はまさか自分がフィットネスの仕事に就くとは思っていなかったそう。

お父様の仕事の都合で3~12歳までアメリカで過ごしたSayaさん。その後、日本の大学を卒業後1年で再び渡米。アメリカの企業に就職してそこで出会った男性と結婚し、妊娠を機に27歳で退職。子育てに専念するために専業主婦の道を選んだと言います。それまで運動とは無縁の生活を送ってきたSayaさんとフィットネスの出会いは、2人目のお子さんを出産後。
「長女を出産した31歳の頃、いつもだるいし、やる気が起きないし、いわゆる産後うつのような症状が起きて、つらい時期を過ごしていました。そんなとき、家の近所にフィットネスジムができたので思い切って入会してみたんです。それまでの私は運動が好きなわけでもないので、積極的にフィットネスをした経験はありません。だから、初めは通うのがおっくうで(笑)。でも、少しずつ体を動かすうちに、気持ちが前向きになっている自分に気づきました。はじめて、楽しく体を動かすこと=フィットネスの楽しさに気づいたんです」

体を動かすだけで気持ちが前向きになり、ボディラインが変わっていくことに喜びを感じ始めたSayaさん。ちょうどその頃、通っていたジムで「ピラティスインストラクター養成コース」のお知らせを目にします。
「自分の変化に驚いていた私の中に、『いつかフィットネスを仕事にしたい』という気持ちが芽生えてきました。実は私の母は私が大学生のときに55歳で、実兄は19歳で亡くなっています。そんなツラい経験を通して、健康でいることの大切さが骨身に染みていたのです。だから私には、息子と娘のこの先の人生をできる限り長くそばで見守ってあげたいという強い想いがありました。それには健康な体が不可欠です。そんな私の根本にある気持ちも後押しをして、自信はありませんでしたがインストラクター養成コースを受講することにしたのです」

フィットネスへの強い想いを胸に、受講後は次々に試験を突破してピラティスインストラクターの資格を取得。専業主婦だったSayaさんは「フィットネスを広めたいという夢」をかなえるために、晴れてインストラクターになります。
「インストラクターになり、自分がやりたいことが明確になったことで、夫の価値観の違いに気づき、自分のために人生をやり直したいという気持ちが強くなったのです。夫といろいろ話し合った末、お互いを尊重して38歳で離婚という形をとりました。親権は2人で持つことにし、子どもたちと一緒に過ごす時間や養育費は完全に半々に。
離婚後は自分のため、子どもたちのために、がむしゃらにフィットネスの仕事にのめり込みました。時間的に大変なこともありましたが、あの頃は『フィットネスを仕事にする』という夢がかなったのですから、ツラいよりも、楽しい、うれしいという気持ちで毎日を過ごしていました」

そして1年後。一生懸命インストラクターの仕事に励むSayaさんを見ていた同僚から紹介されたのが、Google本社でのフィットネストレーナーの仕事です。IT企業で働く多忙なクライアントたちとの出会いがSayaさん独自のエクササイズ『globody』誕生のきっかけになったそうです。
「Google本社には社員のためにさまざまなフィットネスプログラムが用意されていて、社員であれば誰でも参加することができます。でも、人気のないトレーナーのレッスンはすぐに終了になってしまうので、彼らの要望を聞きながら、どんどんエクササイズをアップデートする必要がありました。忙しい彼らの要望で多かったのは『短時間で効率よく、楽しみながらボディメイクしたい』というもの。そこで考えついたのが、ピラティスをベースに、短時間で有酸素運動と筋トレの効果を同時に得ることができる『globody』です」

Sayaさんのクラスは「短時間で高い効果が得られる」「レッスン後は仕事がはかどる」「ポジティブな気分になる」と評判を呼び、レッスンはいつもスタジオの外に人があふれるほど満員。縁あって一昨年には、日本で書籍を出すことにもなりました。

「フィットネスと出会い、明確な目標が見え、そして思い切って行動したことで、普通の主婦だった私の人生が変わりました。あのとき、もう40歳目前だし……とあきらめていたら今の私はありません。『変わりたい! やりたい!』と思ったときがチャンス。人生を変えるのに年齢は関係ありません。私のようにフィットネスで体が変わると心が変わる人も少なくないんです。もし、明確な目標がなければ、まず私と一緒に『globody』をはじめて、体を動かす楽しさを感じてみてください。きっとあなたの中の“何か”が変わると思います」

40代からがフィットネスで美しく変われる世代。年齢を重ねるのは怖くない!

左よりも右の写真のほうが体重は4㎏重いというSayaさんの後ろ姿。体重を減らすことよりも適度な筋肉をつけたほうが美しいボディラインに。

今はヘルシーなボディをキープしているSayaさんですが、ただやせたくて有酸素運動ばかりを行っていた時期もあったと言います。
「脂肪を落とすためには有酸素運動がいいという思い込みがあったので、マシンを使って走るなど、有酸素運動ばかりをやっていた時期がありました。一方で筋トレはマッチョになると思っていたのであまり行わなかったんです。そのときは、体重は落ちたものの、何だか元気のない貧相なボディになってしまいました。そこで考え方を見直し『globody』を考案する中で、有酸素運動を少なめに、むしろ筋トレに重点をおくようになりました。その結果、4㎏体重は重くなりましたが、以前よりずっとメリハリのあるヘルシーなボディになり、自分の体が好きになりました。
そんな自分自身の経験から、私は『やせる=キレイ』ではないと思っています。有酸素運動ばかりを行うと脂肪が必要以上に落ちてげっそり見えてしまうことが少なくありません。特に40代以降は、筋トレを上手にとり入れて体を引き締めたほうが美しいボディラインをつくりやすいのです。だから、私はクライアントさんに「体重計に乗らないでください」と伝えています。数字に惑わされるよりも、鏡で自分の変化に気づきながら、『今日も動いてくれてありがとう』と感謝をしてください。するといつの間にか自分の体を好きになっている。その結果、自分らしい無理のない美しいボディラインがつくれると思うのです。今、アメリカでは『ナチュラルフィットボディ』と呼ばれる、体型が流行しています。これは細い体でも、グラマラスな体でもなく、自分らしいボディのこと。この体をつくるには無理なダイエットは必要ありません。それよりも自分のボディを生かして、上手に引き締めていくことが大切です。筋肉はいくつになっても鍛えることができますから、何歳でも美しく引き締められます。特に多くのクライアントさんと接したことや私自身の経験で感じているのは、40代以降はフィットネスで一番美しく変われる世代です! 楽しみながらフィットネスを習慣にすると、あなた史上最高のボディに生まれ変われますよ」

Sayaさん考案の“エンタメ感満載のエクサ”で心と体を整えて、とにかく楽しくやせられる!

そんなSayaさんが今回FYTTEの連載のために考えてくれたのが、「globody」をベースに運動が苦手な人でも、ほんの少しのすき間時間で楽しみながらできるエクササイズ。「エンタフィット」のコンセプトである、楽しいから気づいたら習慣になっていて、そしてボディメイクができちゃった、そんなおトクなエクササイズプログラムです。

「楽しく運動をすると、幸福感を得られる神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンが増え、うつ病のお薬以上に効果がある、という研究リポートがあるアメリカの大学で発表されています。ただし、それはイヤイヤやっていてはダメ。楽しく、やりたい!と前向きになることで、より高い効果が得られるのです。今回、紹介するのは、マーチングバンドや虹など、頭の中でイメージしながら、好きな音楽をかけて楽しめるゲーム感覚でできるエクササイズです。1~2分の短時間の動きの中で、有酸素運動と筋トレの要素を組み入れているので楽しく続けるだけで、気づけばあなただけのナチュラルフィットボディが完成します。ぜひ次回から私と一緒に楽しく、globody版のエンタフィットをはじめましょう!」

Sayaさん考案のエクササイズは来週からスタートします。お楽しみに!

プロフィール撮影/徳永 徹
取材・文/山本美和

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