WEリーグ得点王独走の浦和MF、“アジア女王”の称号に笑顔「トロフィーは意外と重かった」

浦和を勝利に導いた清家貴子【写真:徳原隆元】

清家は前半22分に価値ある同点ゴールをマーク

三菱重工浦和レッズレディースは5月10日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレ大会「AFC Women’s Club Championship 2023 – Invitational Tournament(AWCC)」の決勝で仁川現代製鉄レッドエンジェルズ(韓国)と対戦。先制を許したものの2-1の逆転勝ちを収め、アジア女王に輝いた。チームに落ち着きを与えた同点ゴールは、リーグでも得点ランキングトップ独走のMF清家貴子だった。

立ち上がりからボールを保持した浦和だが、選手たちに少し緊張の色が見られるなかで前半13分にミス絡みで失点してしまう。それでも前半22分、右サイドからMF栗島朱里が中央のMF伊藤美紀につなぐと、伊藤が最終ライン背後に浮き球パスを供給。抜け出した清家がワンバウンドのボールを右足ボレーで叩き込んだ。

今季のWEリーグで10試合連続ゴールを含む17得点でランキング首位を独走しているエースがチームに漂う嫌なムードを払拭。その4分後にFW島田芽依のゴールで勝ち越した浦和は、そのまま1点差で勝利した。

清家は自身の同点ゴールを「(相手の最終)ラインが統率されていないと思っていたので、狙っていた。裏に出てGKと1対1だったので上に打とうかなと思った」と話し、「久しぶりの先制点を奪われて、なかなか先制点を奪われることがなかったので、こういう舞台で試されているなと。でも、自分たちなら全然やれると思っていたので、焦らずに機会を見てという感じだった」と、追いかける展開でも冷静さを保っていたことを話した。

今季の清家は得点力を爆発させている。主に4-2-3-1の右サイドアタッカーとしてプレーするが、積極的にゴール前へ進出するプレーが目立つ。中央から左サイドに伊藤やMF塩越柚歩、負傷離脱中だがMF猶本光らのラストパスを出せる技術の高い選手がいて、逆サイドから入り込んでくるのも効果的な動きになっている。

また、この日の後半に何回か決定機を外してしまったものの、そのような時でも「(メンタル的には)大丈夫ですね」とミスを恐れずシュートを繰り返せるところが次のゴールにつながる側面もあるのだろう。そのような面もストライカーらしい気質と言えるのかもしれない。

一度は中止と発表された決勝戦の復活、急遽決まった日程が平日18時キックオフという厳しい状況だったのにも関わらず、この日の浦和駒場スタジアムには5271人の観衆が駆けつけた。清家は「SNSを通してたくさんの方が来てくれることが分かっていたので数日前から楽しみで、自分もずっと高揚感があって、普段と違ってこんなにワクワクしていて大丈夫かなと思っていたけど、試合の最後までワクワクしてプレーできた」と、その環境も力に変えていた。

プレ大会とはいえ、これで女子で初のアジア王者の称号を得ることになった。大会得点王にも輝いた清家は「トロフィーは意外と重かった」と笑顔で話していた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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