不動産会社の経営者が教える! リビングの間取りでわかる「選んではいけないNG物件」

NG1 正方形や台形など変形のLDK

LDKは、「L=リビング」「D=ダイニング」「K=キッチン」が合わさった場所のこと。料理して、食べて、その後くつろぐスペースがひとつの空間になっている部屋のことです。

L・D・Kをそれぞれゾーンイング(家具を使って区画を作ることで空間を活用するテクニックのこと)することで、すっきりまとまったLDKが作れるため、三分割できる長方形のレイアウトがおすすめです。

そのため20畳以上の広さがない限り、正方形をはじめ、台形など変形レイアウトのリビングはあまりおすすめできません。

正方形や変形レイアウトだと、ダイニングとリビングの距離が近くなり、家具・家電の配置が難しくなるのです。

たとえば、ダイニングゾーンのテーブルのすぐ横に、リビングゾーンのソファを置かなければならなくなるなど、部屋がごちゃごちゃした印象になり、窮屈になってしまいます。

ゆっくり過ごせる快適なLDKをデザインするためには、長方形レイアウトのリビングを選びましょう。

NG2 長方形のリビングに対して縦型のキッチン

NG1で紹介した通り、リビングのレイアウトは長方形がおすすめですが、キッチンの向きには注意が必要です。

キッチンは、三分割したLDKの一部に横向きに配置するのが一般的。横向きだと、省スペースが実現するため、リビングを広く、有効に使えます。

ところが時折、キッチンが縦向きに配置された物件を見かけるのです。

縦向きキッチンのメリットとしては、キッチンの幅を気にすることなくサイズの大きなシンクや三口コンロなどを置ける、調理場を広く取ることができるなどが挙げられます。

ただし、キッチンに入る通路とリビングに入る通路の2つが必要になる分、リビングやダイニングが狭くなってしまうというデメリットが生じます。

また2つの通路があることで、食器棚など家具の配置も難しくなってしまうのもマイナスのポイントと言えるでしょう。

購入する前にL・D・Kの理想の配分(広さ)やレイアウトを、しっかり考えておくことをおすすめします。

NG3 水回りに段差があるリビング

キッチンをはじめ、洗面所、トイレなど水回りに段差があるマンションがあることをご存じでしょうか?

主に築年数の古い物件に多く見られるのですが、床下にある排水管の勾配を確保するために、あえて段差が設けられているのです。

段差があると、つまづきやすくなるなど安全面も心配ですし、その他にも、家具の配置が難しくなったり、お掃除ロボットが使えなかったりというデメリットがあります。

「段差をなくすために、リフォームすればいい」と考えるかたもいるかもしれませんが、勾配は確保したまま床を上げると、その分、天井が低く、圧迫感が出てしまいます。

築年数の古い物件を候補にする場合は、水回りに段差がないかしっかりチェックしてほしいです。

Information

<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。

取材、文・髙倉ゆこ

© マガジンハウス