印鑑かすれたらどうする? 【ビジネスマナー】 押印時のNGルール

仕事でミスをしたときの対処法【印鑑ミス編】

【元社長秘書のマナー講座】vol. 36


長年働いてるかたでも働き始めたばかりの新入社員でも、誰しもが仕事でのミスを起こしてしまう可能性があります。ミスは避けるに越したことはありませんが、ミスをした際にどう対処をすればいいかを知っておくことが大事であり、ビジネスマナーとして役立つスキルの一つです。

例えば、書類に印鑑を押す際に押し間違えてしまった経験はありませんか? 実は、そうした時の対処法もビジネスマナーとして存在します。いまは電子印鑑やサインですむことも増えてきましたが、押印・捺印が必要な場合もまだまだあります。大切な書類に丁寧に押したつもりでも、にじみが生じてしまい押し直しが必要になることも少なくないかと思います。そこで、いまさら聞けないことや素朴な疑問について確認しておきましょう。
仕事上のミスの中でも今回は、大人が知っておきたい印鑑のミスの対処法についてご紹介します。ぜひ、疑問に思っていたことを解消し、ビジネススキルの一つとして覚えておきましょう。


印鑑ミスをした場合の正しい対処法

押す場所を間違えてしまった場合のミスはどう対処する?

意外と多いのが、「押す場所の間違い」のミスです。この場合の対処法をご紹介します。

1. 間違えて押してしまった印影に対して、打ち消しの意味で二重線を引きます。
2. 間違った印影に被せて、訂正印(同じ印鑑)を押します。その時、必ず両方の印影がある程度見えるように少しずらして押しましょう。
3. 正しい印を今度は間違いなく正しい場所に押印し直します。

押す印鑑を間違ってしまった場合のミスはどう対処する?

押す印鑑自体を間違えてしまった場合の対処法の手順をご紹介します。

1. 間違えて押してしまった印影に対して、打ち消しの意味で二重線を引きます。
2. 間違った印影に被せて、間違えてしまった印鑑で訂正印を押します。その時、必ず両方の印影がある程度見えるように少しずらして押しましょう。
3. 正しい印を訂正印を押した横に押印し直します。

しっかりと押せなかった場合の対処法は? かすれた印影は効力があるの?

「印影が一部しかでなかった」「かすんでしまった」「にじんでしまった」という経験があるかたも多いかと思います。その場合には、かすれた印影を二重線で取り消し、横に再度正しく押印し直しましょう。また、認印の場合は、印影を照合するわけでなく了承や確認といった意思を示す意味のため、印影がかすれていても効力をもちます。しかし、実印の場合は照合が必要になるため、全体が把握できない印影は効力をもたないため気をつけましょう。

押す向きが少し斜めになってしまった場合、訂正をした方がいい?

印影の向きが多少の斜めであれば、基本的には問題ありません。しかし、「逆さまに押してしまった」「横向きになってしまった」という場合には訂正をしましょう。

押し直しは何回まで大丈夫なの?

訂正をしたけれど、もう一度失敗をしてしまったという場合もありますよね。ビジネスシーンでは印鑑の押し直しは基本的に1度までです。何度も印鑑を押してしまうと書類自体が汚れてしまい、相手に対して失礼な印象を与えてしまう可能性があります。誤って複数回の印鑑訂正を行う場合には、再度書類の印刷を行うなど配慮が必要です。


印鑑ミスをした場合のNG対応3選

二重線のみの訂正はNG!

文字を訂正する場合と同様に、捺印に失敗した印鑑を二重線で訂正しているかたも少なくないかと思いますが、ビジネスマナーとしては基本的にNGです。誰でも書き足せる二重線のみの対処だと「誰が訂正したのか」がわからないため悪用に繋がり、思わぬトラブルになる可能性があるからです。特に、実印が用いられるような場面では、間違えた印鑑を訂正印として再度被せて捺印するよう対応をしましょう。

かぶせて押印するのはNG!

上から印鑑を重ねるのは「訂正」ではなく「取り消し」の意味を持ちます。印鑑が重なってしまうと正確な押印として認められれないため、避けましょう。印鑑の訂正のために改めて押印する場合には、印鑑同士が重ならないように注意が必要です。

横に正しいハンコを押印するだけの対応はNG!

誤った印影の横に正しいハンコを押すだけでは、訂正したことにはならないためNGです。どちらが正しいものなのかがわからないため、誤った印影に二重線を引いたうえで、一部が重なるようにして訂正印を押しましょう。


おわりに

ビジネスシーンでは、業務の中で印鑑を押す機会はよくあります。ミスをしてしまった場合に、ビジネスマナー違反で知らない間に恥をかいてしまわないように正しい対処法を覚えておくことが大事です。仕事上のミスは誰にでもあることですが、そのミスに対しての対処を知っていることで慌てずに対応をすることができます。円滑に業務を進めるビジネススキルの一つとして身につけておきましょう。


<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。

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