20キロ歩き魅力探る 金大生「南砺・角間バレー構想」 観光開発へ意見交換

角間キャンパスから旧南砺福光高に向けて県道沿いを歩く金大生=南砺市法林寺

  ●産学融合研究会1年63人、大学-旧南砺福光高の道のり

 金大融合研究域・松島大輔教授ゼミ「金沢大学産学融合研究会」の1年生63人は11日、同大角間キャンパスから旧南砺福光高まで約20キロの道のりを歩き、南砺市の魅力を探った。研究会は「南砺・角間バレー構想」を掲げ、南砺―金沢間の観光開発に向けて学生目線の事業立案を4年間で目指す。旧南砺福光高では南砺市職員らと課題について意見交換した。

 学生の起業家精神を育てるアントレプレナー(起業家)合宿として1年生の基礎講義の中で企画され、南砺市が協力した。

  ●休憩地点でクイズ

 学生は角間キャンパスを出発し、県道金沢・井波線を6時間歩いた。車で20~30分の道のりを実際に歩くことで両市の距離感を体で感じ取りながら、魅力発信のヒントを探した。途中にある医王ダムや、高台から見える南砺の街の風景などを写真に収めた。休憩地点では南砺市の歴史や蓮如上人とのゆかりに関するクイズに答えた。

 ゴールの旧南砺福光高では、市職員や地元関連の企業経営者ら13人が加わり、農業や商工、関係人口創出など八つの課題について意見を交わした。市職員が同校舎の活用策を求め、学生からは企業の研修施設や高齢者の健康づくりができる施設とする案が出た。農業に学生の力を借りる条件との問いには「送迎や食事、宿泊の用意があれば、参加しやすい」との意見があった。南砺市の文化財や民藝に関心を持つ学生もいた。

 学生は南砺市内のコテージに宿泊し、12日に金大で発表会に臨む。

 南砺市出身の1年生林稔之さん(24)は「南砺の人口が減り続けて寂しい。課題解決に協力したい」と意欲を示した。松島教授は「1年生が卒業するまでにバレー構想にふさわしい事業を実現したい」と話した。

 南砺市と金大は2014年に包括連携協定を結んだ。これまで、相倉合掌造り集落の棚田オーナー事業への参加や地元企業との商品開発、空き家活用などで金大生の協力を得ている。

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