「夜も眠れないくらいかゆい」夏にかけて注意が必要な「チャドクガ」卵・幼虫・成虫・脱皮殻・死骸まで「すべてに毒あり」【岡山】

「毒針毛」を持つ?!チャドクガ 触ってないのに炎症が...

これから夏にかけて、市街地の生垣などに大量に発生する毛虫がいます。それは「チャドクガ」の毛虫(【画像①】)です。

岡山では例年、ゴールデンウィーク明けごろから徐々に幼虫が見られるようになり、「ツバキ」「サザンカ」などに発生、葉を食べつくします。

チャドクガの毛は「毒針毛」といって、毒を持っています。一匹に30万本以上あるというこの毛に触れると、かぶれて発疹や強烈なかゆみに襲われます。

また毛に触れなくても「その体の毛が飛んでくるだけで」皮膚に炎症が起きる毒を持っていると言われていて、注意が必要です。

以前、屋外で作業をしていた女性はチャドクガに触れた覚えはないのに、【画像②】のような症状が出たといいます。

(症状が出た女性)
「夜も眠れないくらいかゆかった。手から一気に首へ広がっていきました。毛虫はいたのは見たんですけど、そんな近くには行ってないつもりだったんですけど」

「毒針毛」にやられたらどうすればいい?専門家に聞いてみた

知らない間に触れてしまうかもしれないチャドクガの毛(【画像③】はすごいです...)。いったい、どのように対処したらいいのでしょうか?

害虫駆除に詳しい、岡山県ペストコントロール協会の大野竜徳さんに伺いました。

(岡山県ペストコントロール協会 大野竜徳さん)
「幼虫のチャドクガは、群れを成して行動しています。『毒針を持った毛虫が群れを成す』のは『高い防御性を得ること』『硬い葉を効率よく食べるためだ』ということです」

「そのおかげで、我々は大量のチャドクガの毛に触れやすくなってしまうのです」

ーでは、幼虫を見かけたら、できるだけ近寄らないことが大事なのですね?

「実は、厄介なことに、チャドクガは幼虫だけでなく、卵や成虫(【画像④】)など、すべての成長過程で毒の毛をもっているのです。さらには、脱皮した殻や死骸についている毛でもかぶれるので注意が必要です」

ーチャドクガに触れなくてもかぶれることはあるのでしょうか?

「チャドクガの毛は、かなり細くて軽いため、すぐ風に飛ばされます。飛ばされた毛が洗濯物に付着した場合は、それに触れるだけでも症状が出てしまうのです」

「周辺にツバキやサザンカの木がある場合には、幼虫がいないかよく確認してから干さないと被害を受けてしまいます」

ーもし、触れてしまったらどうしたらいいのでしょうか。

「かきむしると毒毛が折れて皮膚に残ったり広がったりしてしまうので、水で洗い流すか、テープなどで取り除くのが良いでしょう」

「卵にも毒が...」その駆除のベストな方法は?

ーチャドクガの被害を減らすために、ほかに有効な手段はありませんか?

「この時期の『卵を駆除する』のも効果があるでしょう。例えば、ツバキやサザンカの葉の裏に卵がついていますから、それを取り除きましょう。しかし、その際にも気を付けないといけないことがあります」

ーどういったところに気を付ける必要がありますか?

「卵は、一個だけでなく複数の塊で産み付けます。だいたい1センチくらいの塊になっています。そして、その卵を守るために、親は卵にもりもり毒毛を付けるのです。ですから、卵も触ると皮膚の炎症を起こしてしまいます」

ー卵を取り除くにはどうすればいいですか?

「葉の裏に卵らしきものを見つけたら、葉がついている枝ごと袋に受けて切り落としてください。そうすると卵を触らずに駆除できます」

これから夏にかけて増えるチャドクガ。そして、8月末ごろから新たな幼虫が生まれ、秋ごろ再び発生すると見られています。早め早めの対策で被害を抑えることが大切です。

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