【10年ひと昔の新車】ランボルギーニ アヴェンタドールは、速く、ゴージャスな、まさにスーパースポーツカーそのものだった

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ランボルギーニ アヴェンタドールだ。

ランボルギーニ アヴェンタドール(2012年:ニューモデル)

ランボルギーニの新たなフラッグシップとなったアヴェンタドール。LP700-4とは700馬力の4WDを意味する。

アヴェンタドールが の後継車であることは、ひと目見ただけで分かる。上方に開くシザードアは、 以来、ランボルギーニの象徴だ。そしてミッドマウントされるV12エンジン。このシザードアとV12エンジンこそが、カウンタック〜 〜ムルシエラゴと継承されてきた、フラッグシップ ランボルギーニのアイコンなのだ。

このハイパフォーマンスをサーキットで味わう機会を得た。コースインし、1速ギアからフルスロットル! ノイズの少ない純粋な爆発音が背中で唸り、あっという間にレブリミットの8500rpmに。しかしスゴい加速Gだ。試乗前に加速度は1Gを超えると説明を受けていたが、これほど強烈とは・・・。4WDだからこそ余すことなく路面に700psを伝え、使い切ることができる。

ちなみに0→100km/h加速は2.9秒と驚異的。旧型(ムルシエラゴ)に対してボア・ストロークともまったく異なる新開発のエンジンはレブリミットまで全域で力強く、そしてどの回転域でも振動感が少ないのが印象的。ピックアップが良く、自然吸気エンジンならではのフィーリングだ。

最終コーナーを立ち上がり、右手パドルを引いて次々にアップシフト。高回転域を維持しながらシフトチェンジすると、12→4方式の排気管は素晴らしいエキゾーストノートを奏でる。そのシフトチェンジを司る7速トランスミッションは79kgという軽量なシングルクラッチタイプ。他のスポーツカーが採用するツインクラッチにしなかったのは軽量化が目的だ。

軽量化では、モノコックボディにフルカーボンの採用が目新しい。各ピラーからルーフを含めた一体成型のカーボンモノコックはワシントン大学&ボーイング社との共同開発とのことだ。しかも、この袖ヶ浦フォレスト レースウェイの短いストレートエンドで、なんと194km/hという最高速を記録。ポルシェ997GT3が180km/h台と記憶しているから、このスピードは驚異的だ。

新開発された6.5LのV12エンジンは、700ps/690Nmという圧倒的なパワー&トルクを発生し、4輪を駆動する。

ハードな走りも可能だが、意外に乗り心地は良かった

プッシュロッド式のサスペンションを採用したおかげで、ハンドリングは意外に軽快だった。

ところで安全に走りを楽しむための電子制御によるドライブセレクト システムには3種類のモード設定が用意されている。まずは普段の走行に用いる「ストラーダ」とスポーティな走行をする時の「スポーツ」。そして、サーキット走行用ともいえる「コルサ」だ。ただし、トラクションコントロール等をOFFにできるスイッチは別にあるところが面白い。つまり、スポーティな走りの中でもスピンコントロール等を残しておきたい場合は、このスイッチはONのままにしておけばいい。

「コルサ」に設定するとシフトチェンジが驚異的に速くなり、ショックも大きくなる。しかし、シフトラグはとても小さい。ショックの大きさは演出なのかもしれない。ただ、「コルサ」よりも「スポーツ」の方が、よりステアリングが切れ込むニュートラルステアな操縦性だった。ドライブセレクト システムは4WDの前後配分もコントロールするので、ハンドリングの特性をハッキリと変えることができる。これも、とても興味深い。

ハンドリングはこれまでのムルシエラゴに比べて軽快。とにかくステアリングもブレーキングも動きが軽い。これはカーボンモノコックの採用が大きいが、加えてサスペンションがF1マシンなどと同じプッシュロッドを採用していることもある。プッシュロッドはダンパー&コイルユニットをサスペンションから切り離してボディに備え付け、プッシュロッドによってサスペンションの動きをユニットに伝えるシステム。バネ下重量の低減と空力性能を大幅に改善できるのだ。そして意外に乗り心地も良かったりする。

コクピットはさすがにイタリア車と唸るデザインと仕上げの手作り感。メーターはカラフルな表示が血を沸かす。ひとつだけ残念なのは、コウモリのように羽を広げるサイドエアインテークとリアスポイラーは走行中にしか見ることはできないこと。この勇敢な姿を拝めるのが自分ではないのは、ちょっと悔しいかもしれない・・・。

コクピットは随所にレザーが配置され、スポーティなだけでなくゴージャスな雰囲気を味わえる。内装色はオーナーが選択できる。

●全長×全幅×全高:4780×2030×1136mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1575kg
●エンジン:60度V12 DOHC
●総排気量:6498cc
●最高出力:515kW(700ps)/8250rpm
●最大トルク:690Nm(70.4㎏m)/5500rpm
●トランスミッション:7速AMT
●駆動方式:縦置きミッドシップ4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・90L
●JC08モード燃費:未発表
●タイヤサイズ:前255/35ZR19、後335/30ZR20
●当時の車両価格(税込):4100万2500円

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