老後生活に2000万円は本当に必要? 目安となる金額とは

もう5年前になりますが、「老後資金2000万円問題」が、話題になりました。その後2000万円では足りない3000万円が必要だとか。いろいろな金額を目にすることがあります。本当のところ老後資金はどのくらい必要なのでしょうか。

もし、老後資金を十分に準備できなかったら、老後生活は、惨めなものになってしまうのでしょうか? そんな不安を抱えている人が多いのではありませんか。では、老後資金はどのくらい準備しているのでしょうか?

PGF生命の「還暦人に関する調査(2023年)」の調査によると、60歳のときの貯蓄額の平均は3454万円です。金額が多いのでビックリですが、実態は、100万円未満の人が25.2%、つまり4人に1人います。300万円未満の人も38.2%います。

「老後資金2000万円問題」などと聞くと、300万円未満では老後資金の準備ができているとは言えないようにみえます。では、この4割近い人の老後生活が暗いのかというと、決してそうではありません。

今回は、意外と少ないお金でも老後は幸せに過ごせるという話をしましょう。


約6割の高齢者は、ほぼ年金で暮らしている!

ずっと会社員などで働いてきた人は、「厚生年金」があります。そのため「年金だけで大丈夫なのか?」という問いには、ある程度は大丈夫といえます。

実際に、年金だけで生活している人は、約4割です。生活費の8割までが年金という人を入れると約6割の人がいます。つまり多くの人は年金だけで生活をしているのが実情です。もちろん年金しか収入がないので、それに頼らざるを得ない人もいます。

「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和4年度)」より、年金収入の平均を見ると、男性は約16万円で、女性(専業主婦の場合)は約5万円で、世帯収入は約21万円になります。共働きの場合には、男性16万円で、女性は10万円ですので、世帯収入は26万円です。

共働きではない場合には、老後生活をするには、ギリギリの額になりますが、節約をしながらでも何とかなる収入です。共働きの場合は、余裕があるわけではありませんが、ギリギリの生活ではなくなります。

しかし、基礎年金だけの場合や年金の受給額が少ない人にとっては、きびしい老後生活になるので、老後資金はある程度必要になるでしょう。

やはりある程度の老後資金は必要!

いずれにしても、老後資金がないと不安ですし、生活費に加えて突如として出費が発生する可能性もあります。

例えば、ケガや病気で入院が必要になった場合、公的医療保険があるので、自己負担額はそれほど大きくはありませんが、それでも出費は発生します。

「介護が必要な状態になった」ときにも、お金は必要です。しかも介護は長期に渡ることが多いので大きなお金が必要になってきます。

また、日常の生活のなかでも「エアコン、テレビを買い換える必要が出た」など、家電が壊れることもあります。さらに「家のリフォームの時期がきた」「子どもの結婚、孫の誕生」。これもお金がかかります。

介護費用、トラブルに対応できるお金を800万円準備しよう!

それでは、どのくらい予備費の貯蓄は見ておいた方がよいのでしょうか?

もちろん多い方がいいのは、間違いありません。最低でも、突発的なドラブルに対応できる貯蓄は準備する必要があります。老後生活でもっとも費用がかかると考えられる「介護」の費用を目安に準備するのは、いかがでしょうか?

介護に掛かる費用は、平均で約580万円かかると言われています(生命保険文化センター調べ)。認知症の場合はもう少し費用がかかるといわれています。ですから多めに見積もって800万円の介護費用を準備しておきたいです。この800万円の介護用の予備費は、預貯金またはNISAなどで用意しておきたいものです。介護以外でも、前に述べたトラブルなどでお金が必要になった時にも、引き出せるようにしておけばいいのです。保険ではなく、現金に換えることができる方がいいのです。困ったときになんでも使えますから。

「人生で必要なものは、少しのお金」

こう考えてみると、老後生活で「収支のバランス」さえ取れていれば、2000万円、3000万円が絶対に必要なのか?というとそうではありません。もちろん資金は多ければ多いほど、旅行やレジャーなどの余裕のある生活ができます。

しかし、老後資金が800万円でも、それはそれで楽しい生活を送ることはできるのです。「老後資金が少ない」と悲観する必要はありません。喜劇王のチャールズ・チャップリンも言っています。

「人生はすばらしい。怖れの気持ちさえ持たなければね。人生で必要なものは、勇気と、想像力……そして少しばかりのお金なんだよ」

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