キヤノンアスリートクラブ九州 笑顔を絶やさず走り切り、好調を維持する藤川遥 【大分県】

キヤノンアスリートクラブ九州(キヤノンAC)のムードメーカー藤川遥が輝きを取り戻した。昨年9月の「第71回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会」の女子1500mで4分21秒35を記録。12月の日本体育大学で行われた「第24回女子長距離競技会」の女子5000mでは16分16秒67で走り抜き、ともに自己ベストを大幅に更新した。

駅伝強豪校のルーテル学院高校(熊本県)を卒業し、鹿屋体育大学に進学。将来を嘱望されていたが、大学でもキヤノンAC加入後もけがに苦しんだ。故障を繰り返したことで筋力と体力が大幅に低下し、本来の力を取り戻すまでに多くの時間を要した。藤川は「結果を出せず、もどかしい時期が長かった」と振り返る。持ち前の明るさで周囲に心配をかけぬよう振る舞ったが、不安で押しつぶされそうな夜は大好きな温泉に漬かり、星空を眺めてリフレッシュ。笑顔は絶やさなかった。

昨年から好調を維持する藤川遥

転機が訪れたのは昨年4月頃。慢性的な貧血に悩まされていたが、「走るために食べよう」と食べ込み、疲れたら練習を休む勇気を持つことで継続的に練習できるようになった。次第にコンディションが上がり、調子のいいときに感じていた「ゾクゾクする走り」を取り戻したという。5000mを16分16秒台で走ったときから「目の色が変わった」と後藤透監督。全日本実業団に出場するための標準記録となる16分5秒を切ることが目標となり、練習に取り組む姿勢が変わった。

藤川はキヤノンACに加入した当初から全日本実業団選手権に出場することを目指してきた。昨年は1500mで出場したが、専門の5000mで決勝レースに出ることが夢だ。加入4年目の今季も好調を維持する。「自分には伸びしろしかない。手応えを感じている」と実感を込めた。みなぎる自信とあふれ出る笑顔に偽りはない。「褒められると調子がいいので、ポジティブな記事にしてください」との言葉にも余裕を感じる。笑顔が呼び込んだ好調は、まだまだ続きそうだ。

今年は5000mで全日本実業団選手権の出場を目指す

(柚野真也)

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