母の日(5月12日)

 きょう12日は母の日。110年前、米国議会が5月の第2日曜日と定め、世界各国に広まった。東京・豊島園で1937(昭和12)年に開かれた「森永母の日大会」がきっかけとなり、日本に定着したとされる▼森永製菓が全国の母親を無料で招き、2日間で20万人が集まった。歌や踊りのショーが繰り広げられ、「母を讃へる歌」が発表された。公募で選ばれた歌詞に古関裕而さんが曲をつけた。父親が絶大な威厳を放っていた時代。♪母上は~に始まる情緒豊かなメロディーに、胸を打たれた母親も多かったに違いない▼現代の母の日商戦は、1千億円を超える規模という。花やハンカチが店頭に並ぶ。都内百貨店の調査によると、プレゼントにかける金額は昨年を上回っているという。物価高でも、恩に報いる贈り物には予算を惜しまず―の意識が広がっているのだろう。もちろん、感謝を金銭で計ることはできないが▼森永の大会のチラシで母の日をこう紹介している。「世界中の心ある人たちは、この日になりますとなにかしら、お母さま方をおよろこばせすることをいたします」。少々気恥ずかしくても口にしてみよう。それぞれが心に秘める「母を讃へる歌」を。<2024.5・12>

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