【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第6戦】運だけでなく実力で初優勝のノリス。メルセデスの間に割って入った角田

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価し、ベスト5のドライバーを選出した。今回はマイアミGPの週末を振り返る。

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 マイアミのアスファルトの厄介な特性と、スプリント方式の組み合わせにより、チームとドライバーが週末全体を完璧に過ごすのはきわめて難しかった。実際、週末の間に一度もつまずかなかった者は誰もいなかった。そんななかでミディアムタイヤとハードで素晴らしいパフォーマンスを見せて初優勝を飾ったランド・ノリスに最高点をつけた。

【2024年F1第6戦マイアミGP ベスト5ドライバー】

■評価 10/10:初優勝に値するパフォーマンスを見せたノリス

ランド・ノリス(マクラーレン):スプリント予選9番手/スプリント20位/予選5番手/決勝1位

 ランド・ノリス(マクラーレン)の初勝利の要因のひとつには多少の幸運もあったのは確かだが、基本的には優れたスピードとタイヤマネジメントによって彼自身が勝ち取った結果だと言っていい。ユーズドのミディアムとハードでのペースは他の誰よりも素晴らしく、グランプリ初優勝に値する仕事をした。

2024年F1第6戦F1マイアミGP ランド・ノリス(マクラーレン)がF1初優勝

■評価 9/10:ルクレールはスピン以外は満点のパフォーマンス

シャルル・ルクレール(フェラーリ):スプリント予選2番手/スプリント2位/予選2番手/決勝3位

 週末唯一のフリープラクティスで開始直後にスピンを喫していなければ、シャルル・ルクレール(フェラーリ)にも満点をつけただろう。あれは言い訳ができないミスだった。しかし、よく言われるように、「重要なのはどのように転んだかではなく、どのように立ち上がるか」だ。ルクレールはその後は非常に質の高い仕事をしてみせた。両方の予選でチームメイトより速く、スプリントでも決勝でもトップ3に入った。

2024年F1第6戦F1マイアミGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

■評価 8/10:速さはあったが不運だったサインツ

カルロス・サインツ(フェラーリ):スプリント予選5番手/スプリント5位/予選3番手/決勝5位

 カルロス・サインツ(フェラーリ)は日曜日にはチームメイトよりも速かったが、不運だった。スタート直後のターン1でクラッシュを避けるための回避行動を取らざるを得ず、それによって好結果を得るチャンスを失ったのだ。また、オスカー・ピアストリとの軽い接触について受けたペナルティは不公平なものに思える。サインツはピアストリよりも完全に前に出ており、彼はブレーキングを遅らせた後にスピンを避けるための行動を取ったにすぎなかった。

2024年F1第6戦F1マイアミGP ランド・ノリス(マクラーレン)のF1初優勝を祝うカルロス・サインツ(フェラーリ)

■評価 8/10:らしくないミスもあったフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):スプリント予選1番手/スプリント1位/予選1番手/決勝2位

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、日曜日のレースでは優勝することができなかったが、予選パフォーマンスは非常に優れていたし、2回のスタートと、最初のラップの動きは素晴らしかった。シケインでボラードに接触し、マシンのフロアにダメージを負うという彼らしくないミスが、敗北の主な理由であり、この企画の採点上でも減点せざるを得なかった。しかし通常よりバランスが取れていないマシンで優れたパフォーマンスを発揮したことは、称賛に値する。

2024年F1第6戦F1マイアミGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得

■評価 8/10:ほぼ完璧なレースでポイントをつかんだ角田裕毅

角田裕毅(RB):スプリント予選15番手/スプリント8位/予選10番手/決勝7位

 角田裕毅(RB)は今回も非常に高いレベルの走りを見せ、決勝では2台のメルセデスの間に割って入った。これはチームにとっても注目すべき結果だ。スプリントパートでは苦労したものの、重要な予選と決勝ではすべてをうまくまとめてみせた。予選ではQ3に進出、決勝はほぼ完璧だった。唯一のマイナス点は、2日連続でルイス・ハミルトンに敗れたことだが、角田は冷静さを保ち、RBに貴重なポイントをもたらした。

2024年F1第6戦F1マイアミGP 角田裕毅(RB)

【ベスト6以下のドライバーとその戦い】

ルイス・ハミルトン(メルセデス):スプリント予選12番手/スプリント16位/予選8番手/決勝6位
=評価 8/10:2回の予選ではチームメイトに敗れたものの、レースでは素晴らしいペースを発揮。6位まで順位を上げた。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン):スプリント予選6番手/スプリント6位/予選6番手/決勝13位
=評価 8/10:日曜日のレースは非常に不運だった。ノリスとは異なり、完全なアップグレード版マシンを与えられていなかったにもかかわらず、週末を通して素晴らしいパフォーマンスを見せた。

ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):スプリント予選10番手/スプリント7位/予選9番手/決勝11位
=評価 7/10:スプリントで貴重なポイントを獲得。日曜決勝では一歩及ばなかった。

エステバン・オコン(アルピーヌ):スプリント予選13番手/スプリント15位/予選13番手/決勝10位
=評価 7/10:短いバーチャル・セーフティカー(VSC)に助けられた後、優れたディフェンスをして、アルピーヌに今季初得点をもたらした。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ):スプリント予選16番手/スプリント9位/予選12番手/決勝12位
=評価 7/10:今回のガスリーはオコンより速く、9位でフィニッシュできたはずだが、VSCがガスリーには不利に働いた。

ダニエル・リカルド(RB):スプリント予選4番手/スプリント4位/予選18番手/決勝15位
=評価 7/10:スプリント予選とスプリントでは素晴らしい仕事をした。しかしそれ以降は再び苦戦した。

2024年F1第6戦F1マイアミGP スプリントでのダニエル・リカルド(RB)4位と角田裕毅8位を祝うチーム

ジョージ・ラッセル(メルセデス):スプリント予選11番手/スプリント12位/予選7番手/決勝8位
=評価 6/10:2回の予選ではハミルトンより少し速かったが、スプリントと決勝では、トラフィックに苦労した後、浮上できなかった。

セルジオ・ペレス(レッドブル):スプリント予選3番手/スプリント3位/予選4番手/決勝4位
=評価 6/10:フェルスタッペンが必要としていたサポートを提供することができないどころか、日曜決勝スタートでは、危うくフェルスタッペンを巻き込んで、レッドブル全滅という結果につながりかねない初歩的なミスを犯した。それでもスプリントと決勝の両方で貴重なポイントを稼いだ。

ローガン・サージェント(ウイリアムズ):スプリント予選18番手/スプリント10位/予選17番手/決勝リタイア
=評価 6/10:ついにスプリント予選でチームメイトに勝ち、スプリントでは力強い走りを見せた。日曜決勝では、ケビン・マグヌッセンにリタイアさせられた。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):スプリント予選8番手/スプリント17位/予選15番手/決勝9位
=評価 5/10:予選で珍しくチームメイトに敗れ、スプリントのターン1では自分に責任のないアクシデントにより後退した。日曜決勝では本来の彼に戻ったが、VSCは自分にとってラッキーだったと認めている。

バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー):スプリント予選19番手/スプリント14位/予選16番手/決勝16位
=評価 5/10:明確にチームメイトよりも速さがあったが、序盤のラップで常に間違ったタイミングで間違った場所にいたことで、ポイントを逃した。

周冠宇(キック・ザウバー):スプリント予選17番手/スプリント11位/予選20番手/決勝14位
=評価 5/10:予選ペースで苦労した後、スプリントと決勝ではチームメイトよりも良いリザルトをつかんだ。

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):スプリント予選20番手/スプリント13位/予選14番手/決勝18位
=評価 5/10:マシンのペース不足に苛立ちを募らせ、それが自分のスピードに影響した。いつもの彼ほど良い戦いができなかった。

ランス・ストロール(アストンマーティン):スプリント予選7番手/スプリント19位/予選11番手/決勝17位
=評価 4/10:驚いたことに予選ではアロンソよりも速かった。しかしスプリントではスタート直後にアクシデントに遭い、日曜決勝ではペースが悪かった。

ケビン・マグヌッセン(ハース):スプリント予選14番手/スプリント18位/予選19番手/決勝19位
=評価 1/10:チームプレイだというが、彼のしていることは許容できる範囲を超えている。彼がばかげた行動をとったために、それが繰り返されないよう、ルールの変更が検討される事態に発展した。これ以上説明する必要はないだろう……。

2024年F1第6戦マイアミGP表彰式 左から2位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、アンドレア・ステラ代表(マクラーレン)、優勝ランド・ノリス(マクラーレン)、3位シャルル・ルクレール(フェラーリ)

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