古式ゆかしく「神田御田植初」 伊勢の神宮神田、三重県無形文化財

【一列に並び苗を植える保存会会員ら=伊勢市楠部町の神宮神田で】

 【伊勢】伊勢神宮の祭典に供えるコメの苗を植える三重県無形文化財「神田御田植初(しんでんおたうえはじめ)」が11日、伊勢市楠部町の神宮神田で古式ゆかしく行われた。

 行事は、室町時代には行われていたとされる。明治期に一時中断したが、大正期に再興し、現在に受け継がれている。

 祭場での神事の後、耕作を管理する作長が、田に苗を投げ入れ、白装束の作丁2人が植えた。続いて、地元住民でつくる神宮神田御田植保存会の会員20人が田に入り、笛や太鼓の音色が響く中、男性は子持帷子(こもちかたびら)に烏帽子(えぼし)、女性は白衣にすげがさ姿で一列に並び、苗を丁寧に手植えした。

 田植えの後、扇を持った男性10人が田の東西に並び、「やー」と声をかけイナゴを払う動作をした。田の中央では、大黒とえびすが描かれた大団扇(ごんばうちわ)を持った2人が、うちわ合わせをしながら3回巡り、豊作を願った。

 今後、神田約3ヘクタールの田植えを終え、9月の「抜穂(ぬいぼ)祭」で収穫を始める。

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