一生、働くしかねぇよ…月収19万円・69歳のごみ収集作業員「体力的にキツイ、歳も歳だし」と愚痴ってもどうしようもない「安すぎる年金額」

手取りで月15万円…70歳を前に

――一生、働くしかねぇよ

69歳・ごみ収集作業員として働く男性。同僚と談笑しながら、そう言い放ちます。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、ごみ収集作業員(平均年齢47.9歳)の平均給与は、月収で26.8万円、年収で401.5万円。年齢別にみていくと、40代後半から50代にかけてピークとなる山型であるものの、他の職業に比べて上昇・減少幅が小さいのが特徴。また就業形態をみていくと、「正社員」が40.8%、「パートタイマー」が32.7%、「契約社員・期間従業員」が12.2%、「(学生以外)アルバイト」が10.2%。他の職業と比べても正社員の割合が少なくなっています。

*清掃員(ビル・建物を除く)、廃棄物処理従事者

【年齢別・ごみ収集作業員の平均給与】

20~24歳:22.2万円/314.4万円

25~29歳:23.9万円/356.9万円

30~34歳:25.8万円/384.7万円

35~39歳:27.6万円/416.3万円

40~44歳:28.1万円/430.3万円

45~49歳:29.4万円/455.0万円

50~54歳:29.6万円/448.3万円

55~59歳:28.7万円/435.5万円

60~64歳:24.8万円/356.4万円

65~69歳:21.9万円/294.8万円

70歳以上:22.0万円/287.6万円

※数値左より月収/年収

――給与は額面で月19万円。手取りにしたら15万円くらいかな。

清掃事業は自治体が行う場合、民間企業に委託して行う場合、その両方の場合がありますが、男性は民間企業の勤務。社員になる場合は免許が必須ですが、男性は免許がなく、立場としてはアルバイトだといいます。

――給料は安めで朝も早いけど、終わるのは昼の3時くらいだし、残業もない

――1日に何百もゴミ袋を運ぶから、体力的にはキツイ。歳も歳だし

――まあ、働く場所があるのは、ありがたいね

70歳を前にして「一生働くこと」を覚悟…その理由は?

昨今は、働く高齢者が増えています。内閣府『令和5年版高齢社会白書』によると、「65~69歳」の就業率は52.0%、「70~74歳」が33.9%、「75歳以上」が11.0%。男性の年齢でも働いていることは珍しくはありません。ただ、多くが現役引退を意識するころ。そのようななか「一生、働くしか」と口にするのは低年金だから。

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は5万6,428円。また厚生年金の老齢年金受給者の平均年金額は、併給の老齢基礎年金を含めて14万4,982円。また65歳以上の受給権者*の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円です。それに対して「月3万円もないね」と男性。

――いや、もう少し真面目に(年金保険料を)払っておけばよかったね(笑)

月3万円の年金に満たない高齢者は、厚生年金受給者に限ると0.8%。割合としてはかなり少ないですが、厚生年金保険(第1号)の受給権者は3,700万人ほどといわれているので、数にしたら30万人近くになるということ。結構な数です。

内閣府『令和3年版高齢社会白書』によると、高齢者が働く理由のトップは「収入がほしいから」でその割合は51.0%と半数超え。男性のように「低年金だから当然働くしかない」というケースはもちろんのこと、年金額が実質目減りし、将来的にさらなる減額が既定路線のなか、「生きていくために働くしかない」という高齢者は、ますます増えていくことは確実です。

――健康なうちは働いたほうがいいよ、家にいても暇だしさぁ

明るく言い放つ男性の姿が、せめてもの救いでしょうか。

[参考資料]

厚生労働省『jobtag)』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

内閣府『令和5年版高齢社会白書』『令和3年版高齢社会白書』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

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