飼い猫に個別の番号を振り分ける茨城県古河市の「愛猫登録制度」が好評だ。猫版の「住民票」に当たる制度に愛猫家の関心は高く、導入1年目の2023年度は市の予想を超える1700匹余りが登録。これまで多頭飼いなどによる地域トラブルもあったが、市は制度普及を通して住民の「飼う責任」を醸成したい考えだ。
同制度は、猫の名前や性別、見た目の特徴などを記入して市役所に提出すると、1匹ずつ個別の登録番号が割り当てられる仕組み。登録すると、登録番号が刻印された鑑札や首輪、門標シール、愛猫カード「NYANCA(ニャンカ)」が交付される。野良猫との区別に加え、飼い主に飼育の責任を持ってもらおうと23年4月、県内で初めて導入された。
市は23年度に千匹の登録を見込んでいたが、同年度に限り登録料を無料にしたこともあり、登録数は1783匹(今年3月末現在)に上った。
ペット需要の高まりの一方、動物の飼育放棄や遺棄は社会問題化。市は猫の屋内飼育を推奨しているが、飼い主が猫を屋外に出したり、猫が抜け出したりするケースは常態化しているとみられ、鳴き声やふん尿による悪臭など猫にまつわる地域トラブルや苦情が寄せられていた。22年には、猫が数十匹に増えて「多頭飼育崩壊」状態に陥った住宅で、保護猫ボランティアが去勢手術に乗り出したケースもあった。
保護猫を飼育する同市の鈴木雅子さん(63)は「登録すれば飼っているという意識を持てる。悲しい猫がいなくなるきっかけにしてほしい」と制度導入を歓迎する一人。市環境課は「飼う責任を考える人が一人でも増えてほしい。登録がそのきっかけになれば」としている。
同制度は今年4月から登録料が有料(500円)になった。飼い猫登録の需要も落ち着いたとみられ、同月の登録は約30匹と昨年度の1カ月平均約150匹の2割程度にとどまった。
市は今後、未登録の飼い主に対し「飼う責任」の理解促進を図り、登録を促したい考え。同課は「登録は猫の安全や市民の生活環境向上につながるので、登録を増やしていきたい」としている。
