試合直前にアクシデントも先発でピッチに。マリノス主将・喜田拓也が語ったチームを背負う覚悟と責任【ACL決勝】

[ACL決勝・第1レグ]横浜 2-1 アル・アイン/5月11日/横浜国際総合競技場

横浜F・マリノスは5月11日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝・第1レグで、UAEのアル・アインと横浜国際総合競技場で対戦。13分に先制を許すが、72分に植中朝日のヘッド弾で追いつくと、86分には渡辺皓太のゴールで逆転し、2-1で勝利した。

この試合で改めて存在の大きさを示したと言えるのが、アンカーで先発したキャプテンの喜田拓也だ。

切り替えの早い守備や、常に声を出してチームを鼓舞する姿もさることながら、特に筆者が印象的だったのは、1点を追う34分に喜田がシュートした場面。相手GKの好セーブに阻まれると、背番号8は珍しく頭を抱えながらピッチに手をつき、悔しさを露わにした。

すると、それを観たファン・サポーターの声援がさらに大きくなり、スタジアム全体のボルテージを一段階引き上げたように感じられた。

【動画】植中&渡辺のゴールで逆転勝ち!
試合後、喜田にどう感じられたのかを訊くと「シュートに関しては、僕のほうから見たら“いったな”と思った」と話し、こう続けた。

「キーパーのナイスセーブです。でも、それだけ会場のボルテージが上がったってことは、姿勢を感じ取ってもらえたってことですし、すごく嬉しいです。(ゴールを)決められればよかったですけど、チームがさらに勢いづくという意味でも、良い攻めができていたので」

60分にピッチを退いた喜田だが、実は試合直前にアクシデントがあったのだという。

「もちろんピッチに立つ立たないは、最後は監督の判断ですけど、立つと決まった以上は、今日がキャリア最後のゲームになってもいいという覚悟で立ちました。別に決勝だからってわけじゃなくて、自分はこのエンブレム、ユニホームを着て戦う以上は毎試合そのつもりですし、それが仲間、ファン・サポーター、マリノスファミリーへの責任だと思う」

ベンチに下がって以降も、喜田はピッチにいる選手に声を掛けたり、交代で入る選手にアドバイスをするなど、チームのために動いていた。それはまるでコーチさながらで、とても頼もしく見えた。

アクシデントの状況は気になるところだが、「大丈夫です」と強調した喜田。そして、敵地での第2レグに向けて「彼らは別のチームになってくると思っていますし、心してかかりたい。何が起きても想定内でいけるような準備を常にしているので、堂々と乗り込みたい」と意気込んだ。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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