「おいしいところを取った」 中盤から前線へ…ACL逆襲の一撃はなぜ生まれたのか?

アル・アイン戦で同点弾を挙げた植中朝日【写真:Getty Images】

横浜FMの植中朝日が同点ゴールを挙げた

J1横浜F・マリノスはアジア王者を目指すAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝第1戦、アル・アイン(UAE)戦で2-1の勝利。同点ゴールを決めたMF植中朝日は、「おいしいところを取った」と周囲の選手たちへ感謝。そして「次は決勝ゴールでトロフィーを掲げたい」と話した。

横浜FMはホームの声援を受け勢いよく立ち上がったが前半12分、最終ライン背後に出てきたボールにDFエドゥアルドが対応していたものの、スキを見せてしまったところで加速したMFソフィアン・ラヒミにボールを奪われスピードアップされてしまう。この大ピンチでGKポープ・ウィリアムが1度はセーブしたものの、こぼれ球をMFモハンメド・アルバルーシに押し込まれ0-1のビハインドを背負った。

それでも横浜FMは後半27分にFWヤン・マテウスのクロスをMF植中朝日がヘディングで同点弾。後半39分にはマテウスのクロスが逆サイドに流れたところでFW宮市亮がボレーを放つと、ファーサイドで詰めたMF渡辺皓太が押し込んだ。当初はオフサイド判定だったが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックによりオンサイドと判定されて2-1の勝ち越しゴールに。これが決勝点になり横浜FMは初戦を制した。

植中は前半26分にゴール正面から際どいミドルを放つなど、チーム最多タイになる4本のシュートを放った。ゴール場面について「ゴールシーンは自分が何かをしたというより、後半特にサイドの選手が良いクロスを上げていた中で、中の選手が入れずにチャンスを潰してしまった。ゴール前に入ろうと決めていた中で良いボール、合わせるだけだった。ヘディングシュートのゴールが多い方ではないけど、この決勝で決められたのは良かった」と話す。そして、「(アンデルソン・)ロペスがニアに入って、そこに相手が付いていくと思った。おいしいところを取った」と、周囲の動きも生きたと振り返った。

横浜FMはロペスを中央に、右にマテウス、左にFWエウベルの強力外国人3トップが注目される。その中でインサイドハーフの位置から積極的に前線に関わる植中は「もともとFWなので、結果しか評価されない」と話す。そして、「最終的には決勝ゴールを決めた選手がヒーローなので、持っていかれた」とも苦笑いした。

それでも、慣れない中東勢との戦いにも時間と共に順応。第2戦は引き分け以上で優勝を決められる状況だが、「ACLの大事なところで決められているので自信はある。次は決勝ゴールを取って、みんなでトロフィーを掲げたい」と、5月25日にUAEへ乗り込んで戦う決戦に思いを馳せた。周囲を見ながら、最後のところで良い場所に入ってくる感覚は点取り屋そのもの。横浜FMをACL初優勝に導く一撃に期待が懸かる。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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