バイドゥの広報担当副総裁が「冷血動画」で批判、すでに退社か―ドイツメディア

中国では、インターネット大手のバイドゥの広報担当の璩静(チュー・ジン)副総裁が、従業員に対する「冷血動画」を発表したことで、大きな批判が発生した。璩副総裁は謝罪した。すでに同社を離れたとの報道もある。

中国では、インターネット大手の百度(バイドゥ)の広報担当の璩静(チュー・ジン)副総裁が、従業員に対する考え方についての「冷血動画」を発表したことで、大きな批判が発生した。璩副総裁は問題視された動画を全て削除して謝罪した。璩副総裁はすでに、同社を離れたとの報道もある。ドイツメディアのドイチェ・ベレが伝えた。

璩副総裁は1日から5日までのメーデー連休中に、従業員に対する考え方を表明する動画4本を中国の大手動画投稿サイトの抖音(ドウイン)/TikTok(ティックトック)を通じて発表した。投稿した動画では、「なぜ私が従業員の家族を考慮しなければならないのか。私は彼/彼女の義理の母ではない。私が主に考慮するのは、彼/彼女がその立場で、私に対して結果を速やかに出せるかどうかだ」などと、従業員に温情は不要とする考えを淡々と語った。

それ以外にも、「従業員が退職を申し出れば数秒で承認する」「泣いていても知る義務はない」といった発言があった。

SNSでは、璩副総裁の動画を「バイドゥの価値観を如実に示すもの」「氷山の一角。職場の現状」「絶妙な私利私欲と冷血無情」「職場では涙を信じないようだ。そもそも温かみがない」などと批判する投稿が次々に寄せられた。また、「彼女は資本家に代わって真実を語っているだけ」として、問題視された発言は璩副総裁個人やバイドゥという企業に特有なのではなく、営利企業に付き物との見方を披露する人もいた。

また、同件により社会におけるバイドゥのイメージが失墜すると予想する投稿もあった。バイドゥは株式を香港、米国で上場しているが、7日には値下がりして、合計時価総額は120億元(約2600億円)分減少した。

璩副総裁は7日、抖音のすべての動画を消去した。また、改めてショート動画を投稿して「最初の意図はよい仕事をすることでした。しかし方法は適切ではなく、あまりにも性急になってしまったことで、皆さまに不快感と苦痛をもたらしてしまいました」と述べた。

璩副総裁は9日になり、インターネットを通じて「多くの批判は非常に適切なものであり、深く反省し、謙虚に受け止めます」などと表明した。璩副総裁はまた、動画を投稿する前に会社の意見を求めることをしておらず、必要な手続きを踏んでいなかったと説明して、批判された動画について「会社の立場を代表するものではないことをここに明らかにして、謝罪します」「不適切で不快な面が、会社の価値観と企業文化に対する社外の誤解を引き起こし、深刻な損害を(バイドゥに)与えてしまいました」などと述べた。

バイドゥは従業員を抑圧する企業文化を長らく育んできたと長期にわたり批判されてきた。一方でバイドゥは、その厳しい労働環境を誇りとしてきた。創業者である李彦宏(ロビン・リー)会長兼最高経営責任者は2012年に従業員に宛てたメールで、競争力を維持するためとして「オオカミのような企業文化」を求めた。(翻訳・編集/如月隼人)

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