【宮島ボート・GⅡレディースAS】田原成貴氏「今節の守屋美穂さんは実に頼もしいレースを続けている」

大会制覇に王手をかけた守屋美穂

ボートレース宮島のGⅡ「第9回レディースオールスター」は12日、優勝戦が行われる。準優11Rでは4艇Fの大波乱もあったが、ファン投票1位で予選トップ通過の守屋美穂(35=岡山)が準優12Rで堂々と逃げ切って、ポールポジションを獲得。2022年以来3大会ぶりのVへ王手を懸けた。ボートレースファン歴46年の元天才ジョッキー田原成貴氏(65)も守屋のイン戦に全幅の信頼。自信の裏にあるのは、別次元のエンジンだ。

【田原成貴氏が熱く語る】見事な逃げだった。直前のレースで4艇フライング。普通ならスタートで縮こまってもおかしくない。なにせファン投票1位、準優1号艇。莫大な期待が懸かるプレッシャーは相当なものだったろう。しかし、守屋さんはトップスタートを決めて逃げ切った。

この堂々たるレースの裏付けは、紛れもなく超抜エンジン73号機だろう。今大会は初日ドリーム戦の逃げを皮切りに1着を重ね、全くスキのないレースを見せてきた。特に私が印象的だったのは2日目だ。前半2Rは2コースから差してバック浮上。3艇が横並びとなったが、ここから非常に落ち着いていた。2Mで2艇を先に回し、自分は冷静にブイ際をターン。あとは機力に任せてホームで鋭く伸び、勝負を決めたのだ。

さらに後半10Rも再現を見ているようなレースぶりだった。5コースからまくり差しが入り切らずバックで3艇併走。またも2M最内を突いてホームで先手を奪い、この日2本目の「抜き」で連勝街道を突っ走った。

以前にも公言したが、私は守屋さんのファンだ。どこが好きかと言われると、実は彼女の「強さ」ではない。人気があって注目度も高い一流レーサーでありながら、なぜかちょっとだけ頼りない。そこがたまらない。気付いたら「頑張れ!」って応援しているのだ。

しかし、今節は違う。頼りない守屋さんはいない。超抜73号機が精神的な余裕を産み出し、実に頼もしいレースを続けているのだ。私はボートに乗った経験はないが、恐らく「スリットで半艇身くらい遅れても1Mは大丈夫だろう」といった気持ちなのだろう。だから道中でも焦りがない。前述したバック併走からの突き抜けが、それを物語っている。

ということで、優勝戦も73号機には逆らえない。そして、今回はヒモ争いにも注目だ。順当に考えれば西橋奈未さん、長嶋万記さんを対抗に据えるべきだろうが、私は5号艇の平高奈菜さんを推したい。なぜなら機力が右肩上がりに上昇しているからだ。初日、2日目あたりは平凡な舟足だったが、私の見立てでは準優終了時点では確実にいい部類に入っていると思う。5コースから彼女らしいまくり差しハンドルを入れ、きっちり連に絡んでもらいたい。

宮島ボート場といえば、私が幼い頃から祖父と通った思い出の場所。だから今大会はいつも以上に力が入っている。守屋さん、私は信じている。頼むから1M先に回ってね! 最後の最後で私をハラハラさせるのは勘弁ね、ミホちゃん(笑い)。

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