大人気の居酒屋が閉店…理由は店主の「寿司が握りたい」 カウンターで客と目を見て話せる飲食店【熊本発】

コロナ禍を乗り越えて、熊本市で飲食店が新たな出発を果たした。40歳の店主が長年の夢をかなえたいと挑戦を続ける姿を追った。

人気店「路地裏ごはんきむら」が閉店

2023年12月、熊本市中央区水道町の「路地裏ごはんきむら」では、忘年会のお客さんでにぎわう中、予約の電話も次々とかかってきていた。

そんな繁盛店にもかかわらず、店主の木村将吾さんは40歳を迎える翌年に向けて、この店を閉めるという決断をしていた。

木村将吾さん:もう一回、自分の本当にやりたい、もうちょっとこぢんまりとした目の届くような所でやりたいなと

人気の中、突然の閉店にアルバイトとして働く学生たちは「自分はあまり何も聞いていなくて、(閉店すると発表した)当日、いったん、真っ白になって、まぁ話を聞いていくと〝なるほどな〟となりました」や「こんなに温かい職場はないので、すごく寂しい気持ちになりました」と話した。

自分の店で寿司を握るのが夢

木村将吾さん:(閉店すると)打ち明けた時はやっぱり皆さん驚かれる。「え、なんで?お客さん多いじゃない」と。「やめるの、やめてよ」と言ってくださったりとか

元々、寿司(すし)を出す飲食店で修業を積んだ木村さん。自分の店で寿司を握ることが、長年の夢だった。

木村将吾さん:自分がやりたいからやる、好きだからやる、ということが仕事にできて最高だなと思っているので、まぁ後悔はしていないですね

コロナ禍の休業や時短営業も乗り越え7年、自分の夢をかなえるため、前向きな気持ちで2023年12月に店を閉めた。

新しい店は唐揚げ店を改装しオープン

新しい店は、「きむら」の2号店として、中央区新町に出していた唐揚げ店を改装してオープンする。改装工事を行うのは、水道町の店も手掛けた神尾建築代表の神尾和秀さん。実は木村さんとは幼稚園からの同級生だといい、新たな夢への一歩を後押しする。

神尾和秀さん:同級生だし、うれしい限りです。昔から変わらず、誰にでも平等に接する、すごく人間味のある人だと思います。常に先のことを考えているんだなと、いつも思っています

木村将吾さん:やっぱり1人じゃできないので、こうやって応援してくれる人がいるからこそ、今回もこうやってできる

これまで使っていなかった2階にも席を作るため、この日は階段をはがす作業に追われていた。

「目を見て話すのが飲食店の醍醐味」

そして、オープン前日の4月24日の店内には、前の店の常連客が集まっていた。

常連客たちは、「料理のおいしさと、常連さんの心の温かさにひかれて、週3くらい来てたんじゃない?」と話し、新しい店舗は日曜だけが定休日だと聞くと、「週6の可能性が出てきましたね。楽しみやね。また飲む量が増えるわ」と楽しそうだ。

新しい店の名前は「鮨と馬刺し、時々肴きむら」に決まり、1階は和の雰囲気、そして、2階はステンドグラスのライトが輝くなど、モダンな雰囲気を目指したという。

当面は1階のカウンターで寿司がメインのコース料理を、そして2階の個室では単品料理を提供する予定だ。

前の店を閉めて改装期間から約4カ月ぶりの再会に、カウンター越しに笑顔があふれた。

木村将吾さん:自分は料理をしているとき、寿司を握っているときが一番楽しいんですよね。前と違って狭い分、目の前でお客さんと目を見て話しながら意見を聞けるというのがやっぱりなんていうのかな。飲食店やっていてよかったなという醍醐味(だいごみ)だと思います

コロナ禍を乗り越え、人気居酒屋を切り盛りしてきた木村さんは、夢をかなえる新たなスタートを切った。

(テレビ熊本)

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