日本で生まれた35mの“衝撃ミドル弾”「早めにシュートを打とうと」 コースは自画自賛「完璧」

柏の犬飼智也【写真:Getty Images】

柏DF犬飼智哉が突き刺したミドルシュート

柏レイソルは5月11日、J1リーグ第13節でFC東京と対戦し、3-3で引き分けた。前半37分までに1-3とリードを許した柏だったが、前半アディショナルタイムにFC東京のGK波多野豪が退場になり数的優位を得ると、後半は一方的に攻め立てて同点に追いついた。

反撃の狼煙となったのが、後半開始から1分も経たないうちにDF犬飼智哉が決めた約35メートルのミドルシュートだった。「打った瞬間に『入ったな』と思いました。ビックリはしなかったですね。練習でもシュートを打ったりしていたので、(試合で出て)『ラッキー』という感じでした。ただ(1点ビハインドだったので)『ここからだ』という感じでした」と、ゴールが決まった直後も喜びの感情はなかったという。

「ハーフタイムも特に(ミドルシュートを打っていこうという)話はなかったんですけれど、 風も追い風で後半の早い時間帯に相手が下がったら、自分の中ではシュートを打とうというのは決めていたので。勢いをつけるためにも、相手を前に引き出すためにも、早めにシュートを打とうと思っていたので、それが結果的に入って良かったです」と、ミドルシュートを意識して後半に臨んでいたことを明かした。

FC東京のMF松木玖生は「2、3点目は取られた時間が悪かった」と悔やんだが、このゴールが一気にスタジアムを柏の反撃ムードに染め上げた。犬飼自身も「やっぱり一人多い時に相手が下がると、なかなか点が奪えない状況になりがちなので、そこで早めに入ったのはチームにとって良かったと思います」と、語った。

DFというポジションもあり、キャリア最高のゴールになっても不思議ではないが、「鹿島の時もああいうので1点決めているので。あの時の方が当たり的にはよかった」と、鹿島アントラーズ時代の2021年の湘南ベルマーレ戦(2-1)で決めたミドルシュートの方が感触は良かったという。この時のゴールは、最終的に相手GKの背中に当たってゴールに入ったが、今回のシュートはクロスバーの下をかすめてゴールに決まった。そのコースについては「完璧でした」と胸を張った。

12日に31歳となる犬飼だが、30歳最後の日だったことは「忘れていました」と、特に意識していなかったと笑う。このゴールで勢いづいた柏だったが、勝ち越しゴールを決めることはできなかった。「追いつけたのはよかったと思いますが、前半のような戦いをしていたら、やっぱり勝てないなという戦いをしてしまったので、そこは反省です」と、口にした。

それでも開幕から複数ゴールのなかった柏にとって、1試合で3点を取ることができ、連敗を2で止められたことは大きい。チームが勝てなかったことで、心からスーパーゴールを喜ぶことはできなかった犬飼だが、「柏での初ゴールだったので嬉しかった」という一撃は、今後につながるゴールになったはずだ。(河合 拓 / Taku Kawai)

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