6月7、8日に舞台「テミスの女神」 闇米拒み亡くなった白石町出身の判事描く

演技の練習に熱が入る出演者ら=白石町総合センター

 戦後の食糧難時代に闇米を拒んで亡くなった白石町出身の山口良忠判事を描く舞台「テミスの女神」が6月7、8の両日、同町の有明スカイパークふれあい郷で上演される。地元の関係者が、昨年8月の名古屋公演のキャストと共演し、戦争に翻(ほん)弄(ろう)された判事の生涯を伝える。

 舞台を映像で見たケーブルワン(武雄市)の大野裕志社長が、社の創業45周年記念事業として出身地の白石町での上演を企画した。2月のオーディションで合格した17人が、名古屋市とオンラインでつないで練習を重ねている。

 山口判事は1947(昭和22)年、栄養失調と肺結核で33歳の若さで亡くなった。闇の食べ物を運んで取り締まりを受ける女性を演じる山口咲栄さん(20)は、山口判事の弟の孫に当たる。「会ったことがない大伯父が生きた世界を味わいたい」と出演を決め、「稽古中にもみんなの演技でうるっとする」と地元出演者の熱演に見入る。

 一般鑑賞のほか、町内の3中学校が統合し4月に誕生した白石中の生徒を招く特別鑑賞も開く。大野社長は「戦争の悲劇と社会の矛盾を描く舞台で、子どもたちにも郷土の偉人の存在と生きざまを知り考えてもらいたい」と語る。

 一般鑑賞は6月7日午後7時、8日午前11時から。チケットは千円。問い合わせはケーブルワン、電話0120(12)4614。(花木芙美)

名古屋市の役者らから演技指導を受ける出演者=白石町総合センター

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