試合後の円陣で心打たれるワンシーン。途中交代のマリノス主将・喜田拓也は腕章をじっと見つめて...「リスペクトと想いを無駄にしちゃいけない」【ACL決勝】

[ACL決勝・第1レグ]横浜 2-1 アル・アイン/5月11日/横浜国際総合競技場

横浜F・マリノスは5月11日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の決勝・第1レグで、UAEのアル・アインと横浜国際総合競技場で対戦。13分に先制点を献上するも、72分に植中朝日、86分に渡辺皓太がゴールを奪い、2-1で逆転勝利を収めた。

試合後、横浜の選手やスタッフたちはベンチの前で円陣を組む。毎試合恒例の光景のなかで、筆者が心を打たれるシーンがあった。

アンカーで先発したキャプテンの喜田拓也は、60分にピッチを退く際、副キャプテンの松原健に腕章を託したのだが、円陣で松原が喜田に返したのだ。それを受け取ったトリコロールの背番号8は、腕章を数秒間、じっと見つめていた。

【厳選ショット】植中朝日と渡辺皓太のゴールで逆転勝利!横浜F・マリノスがホームで先勝!|ACL 決勝 第1戦 横浜 2-1 アル・アイン
キャプテンマークが戻ってきた時、何を思っていたのか。「やっぱりあれ(腕章)って重いものなので」と口にした喜田は、こう続けた。

「僕はキャプテンをやらせてもらって6年目になりますけど、本当に毎年、素晴らしい副キャプテンやチームメイトが支えてくれるし、自分ひとりで務めている感覚がなくて。

彼らは毎回、試合が終わってから必ずキャプテンマークを僕に返すんです。途中交代で自分が(ピッチに)入った時も、彼らが付け続けていてもいいはずなのに、どんな状況であっても、渡す時間がなくても、最後は必ず僕に渡す。そういうところにすごくリスペクトと想いを感じるので、それは無駄にしちゃいけない。このチーム、仲間のために頑張りたいと思わせてくれる要素ですね」

トリコロール一筋を貫く29歳は、どんな時でも周囲への感謝の心を持ち、フォア・ザ・チームの精神で戦う。彼のそんな人間性と姿勢を、チームメイトもリスペクトしているからこその絆が垣間見えた瞬間だった。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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