まつ毛が減る理由は加齢以外にも 美容皮膚科医が教える 4つのNG行動と正しいケア方法

まつ毛が減る可能性のあるNG行動とは(写真はイメージ)【写真:写真AC】

年齢を重ねるごとに、まつ毛が薄くなった、細くなった、抜けが気になる……。そんな悩みはありませんか? まつ毛が減ってしまう原因は、加齢だけではなく、日々のメイクやクレンジングなど生活習慣にある可能性も。美容皮膚科医の貴子先生に、まつ毛が減ってしまう原因と、正しいまつ毛ケアの方法を教えていただきました。

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まつ毛が減ってしまう悩みは半数近く! 一方で9割弱は対策をしていない

まつ毛に悩みを持つ女性はどれくらいいるのでしょうか。株式会社ユーグレナが2024年3月に、全国の20代から60代の女性1000人を対象に行った調査の結果によると、46.1%と半数近くの人が「自分のまつ毛が減ったと思ったことがある」と回答しています。まつ毛が減ってしまうことは、多くの人の共通の悩みのよう。

「まつ毛に関する調査」【出典:株式会社ユーグレナ】

一方、「まつ毛を減らさないために対策をしていますか?」という問いに対しては、全体の89.7%と9割弱が「していない」ようです。まつ毛の対策をしている人の比率を年代別にみると、20代が18.5%と最も多い一方で、60代以上は4.5%、30代・40代・50代は10%前後の人しか対策をしていません。

加齢とともにまつ毛が減ってしまう気がするし、そもそもどう対策すべきかわからない、という人も少なくないでしょう。美容皮膚科医の貴子先生によると、まつ毛が減ることの大きな原因は加齢だけではないそうです。そして、年齢を経ても正しい対策をすれば、まつ毛をキープでき、なんと育てることもできるのだとか。

まつ毛が減ってしまう原因はストレスも関係している

「加齢によりターンオーバーのサイクルが遅くなることも、確かにまつ毛の減少につながります。しかし、ストレスが増えることによるホルモンの影響、摂取する栄養値の低下や吸収率の低下のほうこそ、大きな原因になります」

加齢とともに髪が薄くなる人が多いのはよく知られていますが、まつ毛は髪の毛とは違う種類の毛なのだそう。まつ毛は「無性毛(むせいもう)」という種類の体毛であり、髪の毛と違って性ホルモンの影響を受けにくいという特徴があります。

一方で、ストレスや自律神経の乱れが原因で起こるコルチゾールなどのホルモンの乱れの影響を受けやすい面が。まつ毛が減ることに、ストレスや自律神経の乱れが関係していたとは意外です。

まつ毛が減る可能性があるNG行動

また、普段のメイクやクレンジングなど、まつ毛に対する物理的な行動も刺激が生じ、減る原因になってしまうそうです。やってしまいがちなNG行動は、次のようなもの。

●NG行動1:アイラッシュカーラーを使う
アイラッシュカーラーとはいわゆるビューラーのこと。実はまつ毛に大きな負担がかかります。繰り返し使い続けると、まつ毛のキューティクルを傷つけてしまい、切れ毛につながるそうです。アイラッシュカーラーを使うときに、まぶたの皮膚を引っ張っている人はとくに要注意! 毛根にもダメージが加わり、これから生えてくるまつ毛も弱ってしまう可能性があります。

●NG行動2:ウォータープルーフマスカラを落とすときにゴシゴシこする
マスカラの選び方にも注意が必要です。汗や水に強いウォータープルーフマスカラは、これからの暑い季節などとても便利ですが、ポイントメイクリムーバーを使うのがおすすめ。顔と同じクレンジングで落とそうとゴシゴシこすってしまうと、まつ毛の抜けや毛根ダメージにつながります。ふき取りタイプのクレンジングでまつ毛を強くこするのもNG。

睡眠不足やストレスもまつ毛が薄くなる原因に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

●NG行動3:睡眠不足・ストレスを放置する
ターンオーバーの正常化のためには、質の良い睡眠を十分にとり、ストレス物質であるコルチゾールの分泌が過剰にならないようにしましょう。睡眠不足やストレスは、成長ホルモンの分泌を妨げ、ターンオーバーを乱してしまいます。

●NG行動4:まつ毛エクステをする
エクステは、マスカラよりもまつ毛やまぶたに悪影響を及ぼすといいます。エクステののり(グルー)は、まぶたやまつ毛の生え際に付着することで、慢性的な微細炎症を引き起こし、コラーゲンを破壊する原因になることも。

このほかにも、気づかずに目のかゆみでかくのもNGです。

正しいまつ毛ケアとおすすめの生活習慣

そこで貴子先生に、正しいまつ毛ケアの方法と、おすすめの生活習慣を教えていただきました。

●ケア方法1:スマッジプルーフマスカラを利用する
ウォータープルーフマスカラの代わりに、お湯でスルッとオフできるスマッジプルーフマスカラ(こすっても落ちないマスカラ)。これを利用するほうが、まつ毛への負担が少なくて済みます。

セラメントが主成分のまつ毛美容液 CONC【写真:株式会社ユーグレナ】

●ケア方法2:適切な育毛剤・まつ毛美容液の使用を
効果的な医薬品とまつ毛美容液の使い分けについて、貴子先生は「まつ毛に悩む方に病院で処方される医薬品の外用薬は、あくまで育毛を目的としたものであるため、今生えているまつ毛のキューティクルなどをケアするということはできません。まつ毛のより完璧な育毛ケアとしては、医薬品の外用薬に加え、まつ毛美容液の併用が最も効果的なのでは」と提案します。

キューティクルを修復してくれるマスカラ下地を、マスカラ前につけることを習慣にすると、今生えているまつ毛を維持することにつながるといいます。近年は、まつ毛を育毛できる美容液も発売されているため、マスカラ下地を兼ねて活用するのもおすすめです。

これから生えてくるまつ毛の育毛と、今生えているまつ毛の両方をケアできる成分に、「セラメント」という成分があります。鶏卵由来で副作用がなく、妊娠中や敏感肌の人でも安心して使えるといわれています。

●ケア方法3:食事ではタンパク質・鉄分・ビタミンCを摂取する
食事では、必要な栄養素を摂ることも大切だといいます。まつ毛も髪と同様に、タンパク質が必要です。さらに女性に不足しがちな鉄分、ビタミンCなどのコラーゲン増生を促進する栄養素を意識して摂取しましょう。タンパク質や鉄分の多い赤みの肉を意識的に摂るのが良いでしょう。

日頃から、まつ毛が抜けるのが気になる、減ってきた気がすると不安に感じているなら、NG習慣をチェックして、正しいまつ毛ケアを意識してみましょう。

貴子(たかこ)
美容皮膚科医、日本形成外科学会認定専門医。松倉クリニック代官山院長。日本形成外科学会認定専門医。帝京大学医学部卒業後、京都大学付属病院など大学病院を経て、都内美容外科クリニック院長などを歴任。日本形成外科学会認定専門医の知識を活かして正しい美容医療を行う。2012 年1月より現職

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