FC東京守護神に突然訪れた試練…35mミドル弾を浴びた原因「打つなと分かっていた」

FC東京の児玉剛(写真は2021年撮影)【写真:Getty Images】

2点リードのFC東京は数的不利に陥り後半に追い付かれた

FC東京は5月11日のJ1第13節で柏レイソルと対戦し、3-3で引き分けた。3-1でリードしていた前半アディショナルタイム、今シーズン、Jリーグではピッチに立っていなかったGK児玉剛に突然、出番がやってきた。

最終ラインでボールをFW細谷真大に奪われ、そのカバーに入ったGK波多野豪がエリア外で細谷を倒して一発退場となった。児玉は「(波多野)豪が退場して『俺が出るな』って分かってから、別に特別な焦りとか、ネガティブな感じは全くありませんでした。むしろ長くサッカー選手をしていますけど、途中出場は初めてだったので『また新しい経験ができるな』とポジティブでした。ただ、最終的には45分とアディショナルタイムの出場で2失点しちゃったので、そんなに甘くないなと思い知らされた感じがします」と、振り返った。

前半はそのまま無失点だったが、後半の立ち上がりにDF犬飼智哉に約35メートルのミドルシュートを決められた。「まだ映像で見返していないんですけど、シュートを打ってくる前に、めっちゃ見てきて『シュートを打つな』と分かっていました。『これ打ってくるな』と思ったんですけど、ちょうど打たれる瞬間にブラインドで見えなくて、一歩目が遅れたことが入ってしまった原因です。もちろんスーパーゴールなんですけど、止めないといけなかった」と、児玉は悔しがった。

このゴールで勢いに乗った柏に、同点ゴールも許してしまったが、圧倒的に押し込まれたなかで、児玉の好守が光った場面もあった。「もちろん2点差で勝っていたので、当然チームとしては勝ちたかった。4連勝もかかっていたので、絶対に勝ちたかったです。でも、客観的に見ても後半は本当に押し込まれた。多分『負けなくて良かった』と思っている人もたくさんいると思います。ピッチの中では勝てなくて悔しい思いはありますけど、長い目で見て、タイトルを目指しているなか、ここで勝ち点1を獲得できたのは、次につながると思う」と、試合の半分以上の時間を数的不利で戦いながらも負けなかった意義を強調した。

次節もGK波多野は出場停止になるため、児玉が今シーズン初の先発出場をする可能性もある。「僕の特徴は、足元の技術というか、チームとしてボールを保持する時間を増やせるところにあると思っています。ゴールを守るという前提があるなかなので、2失点していたら話にならないんですが、それでも自分の良さはある程度出せたと思います。次も自分の特徴を出し、次は必ず勝てるようにしたいと思います」と、今シーズンのJ初出場で得た手応えも口にした。

そして「反省点もありますが、最後のところはやらせなかったですし、今日出た課題は短い準備期間のなかでで突き詰めていきたい」と、中3日で行われる次節の名古屋戦に切り替えた。(河合 拓 / Taku Kawai)

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