【賃上げ】生活は豊かになる?企業の特性ごとに特徴はある?年収や賃上げの実態を解説

一覧表で比較!会社員と公務員の年収事情も

連合は2024年4月16日に「2024 春季生活闘争 第4回回答集計結果について」を発表しました。

2024年における賃上げ率は、全体で5.20%で過去最高水準となっています。

では、賃金を引き上げる理由において、企業の特性ごとに傾向はあるのでしょうか。

今回は、賃上げの実態から給与事情を解説します。

記事の後半では、実質賃金の推移についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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日本の年収事情

賃上げが実施されるまでのプロセスは、会社員と公務員でそれぞれ異なります。

会社員の場合、企業側が賃上げをするか決定します。

公務員は人事院の勧告を受けて、内閣や議会の決定で決まります。

では、会社員と公務員の年収実態をそれぞれ確認しましょう。

会社員の年収実態

国税庁が2023年9月に公表した「民間給与実態統計調査」によると、2022年の平均給与は458万円でした。

2021年に比べて、2.7%増加しています。

【写真1枚目/全8枚】2022年の平均給与。2枚目以降の写真で年収事情を深堀り!国家公務員や地方公務員の給与額も

男女別にみると、男性の平均給与は563万円で昨年対比2.5%増、女性は314万円で3.9%増となっています。

2014年以降の推移をみると、おおむね増加傾向でした。

2014年以降の年収推移

では、公務員の年収実態を確認しましょう。

公務員の年収実態

公務員の賃上げを行うかは、民間の賃上げ状況を踏まえて決定します。

2023年度は、企業の賃上げを受けて、人事院は月収を2.7%引き上げるように勧告しました。

では、国家公務員と地方公務員の給与事情を確認しましょう。

人事院給与局が調査した「令和5年国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の平均月収は、41万2747円でした。

国家公務員の平均月収

ボーナスが4.50月分とすると、国家公務員の平均年収は約681万円です。

では、地方公務員の年収を確認しましょう。

総務省が2024年3月29日に調査した「令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、地方公務員の平均給与は35万8824円でした。

地方公務員の平均給与

ボーナスを4.50月分とすると、平均年収は約592万円となりました。

以上から、企業と公務員それぞれが賃上げされています。

では、民間の企業特性で、賃上げがどのような状況となっているのか確認しましょう。

賃金の引き上げ状況

厚生労働省が2023年11月28日に発表した「賃金引上げ等の実態に関する調査」から、企業の特性別にみた賃上げ状況を確認しましょう。

企業規模別

企業規模別にみた賃上げの実施状況は、以下の通りになりました。

  • 5000人以上:97.3%
  • 1000人以上4999人以下:93.3%
  • 300人以上999人以下:93.1%
  • 100人以上299人以下:87.4%

2022年と比較すると、すべての企業規模で賃上げが行われています。

1人あたりの平均賃金の改定額は、以下の通りです。

  • 5000人以上:1万2394円
  • 1000人以上4999人以下:9676円
  • 300人以上999人以下:9227円
  • 100人以上299人以下:7420円

規模の大きい企業が、相対的に高い賃上げを実施しています。

では、産業別にみた賃上げの実施状況を確認しましょう。

産業別

産業別にみた賃上げの実施状況を確認しましょう。

産業別にみた賃上げの実施状況

「生活関連サービス業・娯楽業」が最も賃上げをした割合が多くなっています。

一方で、全15産業のうち5産業が、2022年に比べて賃上げした割合がマイナスとなりました。

産業別にみた1人あたりの平均賃金の改定額を確認しましょう。

産業別にみた1人あたりの平均賃金の改定額

「鉱業・採石業・砂利採取業」が最も賃上げ額が高くなりました。

一方で、賃上げ額が最も低かった産業は「医療・福祉」で3616円となっています。

では、企業が賃上げを実施する理由について確認しましょう。

賃金を引き上げる際に重視する要素

企業が賃金を引き上げる際に重視している要素で最も高い割合だったのは「企業の業績」でした。

賃金を引き上げる際に重視する要素

次いで「労働力の確保・定着」「雇用の維持」が続きます。

「世間相場」を重視した企業は、23.4%となりました。

以上の結果から、賃上げの機運が高まっても賃上げに踏み切らないといえるでしょう。

労働力の確保や雇用の維持といった、企業の経営にかかわる要素を重視しています。

以上から、企業の規模や産業で違いはありますが、賃上げは行われました。

しかし、賃金の伸びに対して生活が豊かになった実感を持っている人は少ないでしょう。

その理由について確認しましょう。

実質賃金は右肩下がり

厚生労働省は、2024年4月23日に「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果確報」を発表しました。

その結果、2024年2月時点の実質賃金は前年比でマイナス1.8%となっています。

実質賃金

2020年以降の実質賃金の推移をみると、2021年からマイナス指標となっています。

実質賃金がマイナスということは、物価の伸びに対して賃金が追いついていません。

そのため、賃金が上がっても生活が豊かになった実感がないといえるでしょう。

2024年度も、高い水準で賃上げが行われる見通しですが、実質賃金が今後プラスに転じるのか、注目が集まります。

参考資料

  • 連合「2024 春季生活闘争 第4回回答集計結果について」
  • 総務省「地方公務員の給与体系」
  • 国税庁「民間給与実態統計調査」
  • 人事院給与局「令和5年国家公務員給与等実態調査」
  • 厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」
  • 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果確報」
  • 総務省「令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要」

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