「デメリットばかり…」混乱を呼ぶ”宿泊税” 北海道が5月中にも全自治体へ説明会 「税収の使途と明確なビジョンが必要」と専門家は指摘 北海道

宿泊税の導入を目指す北海道は自治体などに対して説明会を始めました。すでに宿泊税を導入している観光地の事業者からは二重の負担になると不安の声が上がっています。

実施される説明会

ゴールデンウィーク、北海道各地は多くの観光客でにぎわいました。観光振興の財源にしようと宿泊客に課税する「宿泊税」。北海道は4月から自治体や事業者を対象にした説明会を各地で開いています。「(宿泊税は)観光コンテンツなどの地域の魅力発信、観光客によるゴミ問題への対応、オーバーツーリズム対策など(に充てる)」(北海道の担当者)北海道が検討している宿泊税は、宿泊料金に応じて税額が変わる「定額制」です。宿泊料金が2万円未満で100円、2万円以上5万円未満で200円、5万円以上は500円を宿泊客が負担する仕組みで、年間の税収は約45億円程度と試算しています。

「見える化」する取り組み

北海道で唯一、宿泊税を導入している倶知安町。宿泊料金の一律2%を徴収する「定率制」で、2023年度の宿泊税は過去最高の約4億4600万円の税収となる見通しです。倶知安町では宿泊税が何に使われたのか、「見える化」する取り組みを行っています。「税金がどう生かされているのかというのは見えづらいので、観光客もわかりやすいように作ったステッカー。バスの後ろや入り口に貼ったりしている」(倶知安観光協会 鈴木紀彦 事務局長)宿泊税を観光客が使うシャトルバスの増便やロードヒーティングの増設などに充て、観光の利便性を高めました。屋根のないオープントップバスを利用する町民には町民割引も設けました。「バスの便数は確かに前より多くなったとすごく感じている」(倶知安町民)「ナイト号(シャトルバス)は使う。飲んだ帰りに乗ったりできてありがたいなと思っている」(倶知安町民)倶知安町のペンションで、観光客に宿泊税の使われ方を説明してきたという経営者の早川貴士さん。北海道が宿泊税を導入することには不安を感じています。「(利用客に)自信をもって、皆さんの宿泊税で無料のシャトルバスが走ったなどと話せる。(道は)空港、都市間交通などに使うと説明するが、果たして倶知安で(宿泊税を)払った人に還元できるのか」(ペンションアリス 早川貴士代表)

住民は

さらに倶知安町は「定率制」、北海道が検討しているのは「定額制」で、税金が2つの方式にわかれてしまいます。「新たに北海道の定額(制)がくるとシステム改修費が発生する。どういう手間が生まれるのかなと事業者として不安に思っている」(ペンションアリス 早川貴士代表)北海道が開いた説明会では…。「宿泊業者としてデメリットばかりで、何のためにやるんだという気持ちでいっぱい」(事業者)「徴収された税でどういうものが形になったなど、導入したあかつきには明確にしてほしい」(事業者)「なぜ宿泊業者が徴収者として負担しなきゃいけないのか」(事業者)宿泊税に詳しい神奈川大学の青木宗明教授はこう指摘します。「北海道は広すぎるので、宿泊税をやるなら市町村の方がむしろ(課税を)把握できる地域。結果、(宿泊税を)これに使ったんだという話にしていくべき。道民の幸せの上に観光地が成り立っていて、どういう土地にしたいのかというのをきちんと語ってほしい」(神奈川大学 青木宗明教授)北海道は5月中にもすべての自治体に対して説明会を行うことにしています。

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