中世オープンワールドサバイバル『Bellwright』をプレイ。粗が目立つが建築・クラフト・仲間集めなど「自分の世界を広げていく楽しさ」が魅力【プレイレポ】

中世オープンワールドサバイバル『Bellwright』をプレイ。粗が目立つが建築・クラフト・仲間集めなどは魅力

今回は、2024年4月23日よりPC(Steam)向けに早期アクセスを開始した『Bellwright』のプレイレポートをお届けします。

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『Last Oasis』開発元の新作サバイバルRPG『Bellwright』とは?

本作は、中世を舞台にしたオープンワールドサバイバルクラフトRPG。2020年発売の遊牧サバイバルMMO『Last Oasis』のDonkey Crewが手掛けています。執筆時点でのSteam総レビュー数は3,085件にのぼり、総合評価は「やや好評」です。また、シングルプレイおよびオンライン協力プレイに対応しており、今回はソロプレイでお送りします。

プレイヤーは、王子殺しの濡れ衣を着せられた者として、真実を求める旅を始めます。美しくも過酷な世界で、資源を集めて集落を築き、村人たちを解放し仲間を集め、抑圧的な支配者に反乱を起こして、民衆の英雄となるのが目標です。

本作の魅力は、「徐々に自分の行動範囲が広がっていく楽しさ」にあります。最初は、近くの村に住む人々からも信頼がなく、疎まれるような裸一貫の放浪者状態です。

そこから、資源となるさまざまな素材を拾い、狩猟などで食料を備蓄し冬に備え、住居を建築して拠点づくりに奔走し、クラフト可能な装備や施設を増やして、少しずつ自らの領土と自由を拡大する……というふうに、失敗も含めてプレイヤーの行動がすべてゲームに影響を与える、非常に没入感のあるものでした。ただし、後述する日本語翻訳の粗さや、システム周りの不便さなど、数多くの課題もあります。

各種設定(グラフィック・操作入力・言語・キャラ作成など)

グラフィック面で設定できる項目は、解像度、テクスチャの品質、アップスケーリング方式といったオーソドックスなものです。プレイ環境のせいなのかゲーム側の最適化不足が原因なのかは判断できませんが、画面がカクつく場面が多少あったことは気になりました。

操作方法は、キーボード/マウスに対応。キーバインドは後から自分好みに変更できます。操作感は、一言でいうと「もっさり」。

移動やダッシュなど基本動作は問題ないのですが、ジャンプや障害物の乗り越え、資源収集の挙動、大事な要素である戦闘アクションなどは、もっさりとモタつくような感覚でした。まあ、慣れてくればそれも許容範囲になりますが……最初は戸惑うことでしょう。

言語は、日本語UI/字幕に対応。テキスト、会話などは機械翻訳レベルの日本語で、不自然な表現や単語が目立ちました

そのため、ストーリーに関する情報はイマイチ内容が頭に入ってこないし、NPCとの会話はどれもチグハグ。理解するのに苦労するし、没入感が削がれた気分になります。ただ、それ以外の場面では概ね許容範囲で、プレイに大きな支障はありませんでした(記事執筆時点では)。

気だるい表情が素敵な「SPAKUN」

最後に、キャラクターを作成します。現時点では、性別と顔のタイプ、髪型を選択できるくらいの簡単なものです。そして、プレイヤーの名前を決めたらゲームを開始します。

まずは村の周辺に拠点づくり。さまざまな資源を集めよう

紙芝居風のオープニングから物語が始まります。字幕は日本語ではなく、なぜか英語オンリー。本作には、世界の成り立ちや伝承、ストーリーの背景や歴史を解説してくれる「コーデックス」があり、詳細を知ることができます。残念な日本語訳を除けば、物語を理解するための便利な機能です。

それによると、プレイヤーがいるのは5つある地域の中で最も貧しい「ローランド」で、さらに最も古い集落である「ハーディーン」周辺のようです。とりあえず辺りを探索して村を発見してみましょう。

基本的なUIは画像のようになります。画面右下には、見やすく充実した機能を持つ「ミニマップ」、「経過日数と現在時刻と天候」、「現在の地域名」、「信頼度」など重要な情報が並びます。また画面左側には、赤色の「HPゲージ」、緑色の「スタミナゲージ」、食事のスロット、次の目的を示す「クエスト目標」が配置されています。

ミニマップと勘を頼りに進んでいくと「ハーディーン」の村を難なく発見。最貧地域の最古の集落とはいえ、住人は多く活気もある様子です。すると早速、第一村人を見つけました。NPCとの会話は、プレイヤーの選択次第で分岐し、結末が変化する場合があります。

村にいた農夫は「貴様は長老に会ったか?」と、のっけから随分と高圧的な話し方。まあ、素性の知れない放浪者には仕方ない対応なのかもしれません。どうやら、まずは長老のヨークリンに会って村での滞在許可をもらわないといけないようです。

よそ者と会話すると「死刑」になる過酷な世界

ミニマップには人物や場所などに「!」マークが表示されので、目標を見つけ出すのは簡単です。長老に滞在許可をもらうのを打診しますが、答えはNO。ですが、村のはずれに小屋を建てる許可はもらえました。住む場所が整ったら出直して来い、とのこと。

各要素のチュートリアルは、動画付きで簡単な流れを解説してくれます。プレイヤーの住処となる「私有小屋」は、建設メニューからアクセスし、リソースを集め、既存の村から離れた場所に建てることが可能です。

となると、どこに建てるのが良いのか。村周辺を探索し、ベストな位置を探ります。ついでに、落ちている「木材」「亜麻」を拾っている間に、すっかり夜に……。本作は、ゲーム内で時間や季節が変化しますが、そのダイナミズムは生活感をリアルにし、没入感をさらに高めてくれます。

おや、こんなところに怪しい建造物が……近づいてみると「異教徒の祠」という祠があり、新たなコーデックスと交換可能な古びたコインを入手。『Bellwight』の世界には色々な場所にランドマークとお宝が配置されているので、それを見つけ出すのもワクワクする楽しい要素です。

異教徒の祠は迷ったときの目印にはもなるし、村からも近いので、小屋の建設はこの場所に決めました。そして拾った木材やらで「簡易斧」を作成。こいつは木の伐採や武器にもなるすぐれモノ。「トーチ」もクラフトして、明かるさを確保します。

伐採は結構手間のかかる作業で、数回殴って倒したのちに、さらに細かく切る必要があります。しかも、よく狙わないと空振って切れないことがあるので非常に面倒で効率が悪い……。このあたりのシステムは、もっと簡単に素材収集できるよう今後改善してほしいと思います。

では実際に小屋を建てていきます。建設機能は、回転や角度を決めれる程度で、あまり豊富とは言えません。位置を選択し、地面に置きます。

建築物はある程度、自らの手で素材を追加して組み立てる必要があります。木の伐採と同様、この作業がかなりの手間。たくさんある組み立てポイントに素材を配置して、ようやく完成します。悪く言えば、リアルとゲームが中途半端に融合したストレスの溜まる建築システムです。

しかし、いざ完成した我が家を目の前にすると、感慨もひとしお。私有小屋には、収納箱やベッドがあるので、今晩はゆっくりと眠れそうです。

ちなみに睡眠は1日1回夜間のみで、朝起きるとHPが全回復しています。本作では「何度も寝てゲーム内時間を進める」といったことはできません

寝る前に、滞在許可をもらいに再び長老のもとへ。「またあなたですか……」と話すヨークリンは、訪れた筆者に呆れている様子です。たった2度目の再会で、なぜそこまで辛辣なのか? 疑問はさておき、結局許可はもらえませんでした。代わりに、新たなクエストを依頼されます。

新たな仲間が加入。クエストをこなし村人から信頼を獲得せよ

その依頼とは「ハンターのルボミルを探せ」というもの。村人のアメリーに居場所を聞き出します。彼は、丘を少し登った森の中にいるとのこと。

彼女の言う通り、森の中には、質素なキャンプをしているルボミルがいました。彼に話を聞くと、ハンターとして、トラップなどを作り狩猟して長年村に貢献してきたのに、給料は上がらず、果ては長老から「二度とギャラについて尋ねるな」と言われたとのこと。なんとも可哀想な身の上です。

そしてルボミルから、住居を作り食料を分けるという条件で、仲間に加わると提案されます。これから集落を形成し、領土を拡大していくには、多くの人手が必要となるので、これを承諾し、住居テントを建築します。

左:筆者 右:ルボミル

本作では、さまざまなクエストをこなして村人の信頼を獲得し、仲間を増やしていきます。解放された村人たちは、頼もしいパートナーとなり、「労働者」「仲間」「警備員」いずれかの職業を割り当てることが可能。また、状況に応じて、「攻撃」や「収穫」などの命令を下せます。

村人たちのステータスや現在の行動は、個別に確認ができます。即座に戦闘に参加させたり、労働者として素材集めに行かせたり、建築を任せたりと自由自在。その他、インベントリや属性、士気など細かい管理も可能です。

独自の「テックツリー」が楽しい!さまざま道具をクラフトしよう

こうしてルボミルを仲間にすることに成功しましたが、まだまだやることは山積み。ということで今度は「テックツリー」を見てみましょう。

テックツリーは、家系図のように複雑に派生している、本作独自のクラフトシステムです。これらをアンロックしていくことで、多種多様な道具や素材、建造物をクラフト可能になります。例として、現在クエスト目標になっている「小さな罠」の作成手順を見ていきたいと思います。

まず「簡易作業台」をクラフトします。作業台のテックツリーは最初から解除されているので、資源を集めて建築メニューから設置しましょう。そうすれば、今度は派生先の「常設トーチ」と「小さな罠」がアンロックされていく、という仕組みです。

そして「研究机」も必須の道具。これを使えば、高度な装備品や道具などが利用可能になります。また、研究の所要時間と進行状況、必要な資源リストが表示されています。

研究が終われば、ようやく「小さな罠」が作業台でクラフト可能になります。このように、「テックツリーの解除→テクノロジーの研究→クラフト」の順にさまざま道具や装備を作っていきますが、テックツリーをよく観察し「どの道具を解除すれば何をクラフトできるようになるか」を正確に把握して効率よく運用しましょう。

野盗の襲撃に備えよ

領地を少しずつ広げていくと、野盗の集団に襲撃されるようになります。強力な武器や防具の作成は時間がかかり難しいので、ほぼ初期装備で挑むことに。

戦闘は、攻撃動作がモッサリしているので敵になかなか当たりません。防御も同様で、相手の攻撃を防ぐタイミングが難しい。しかも、野盗はHPも高く3~4人で囲んでくるのでボコられ放題です。再度仲間を連れてリベンジしますが、返り討ちにされ死んでしまいます。

合掌

戦闘におけるアクションはどうも調整不足に感じ、攻撃を当てる爽快感もなければ、敵を苦労して倒したときの達成感もなく、ただストレスになるだけの要素だと思いました。加えて、序盤の襲撃イベントは、貧弱装備のソロプレイヤーには厳しいもので、仲間を5人以上は集めておくか、襲撃モードをオフにしたほうが良さそうです。


本作の良かった点は、クラフトや建築で集落を大規模にしていき、徐々に自分の世界を広げていく実感があったこと。グラフィックはリッチで、美しい世界を探索するゲームプレイは冒険心をほどよく刺激されました。また、UIもスッキリとシンプル構成で見やすく、チュートリアルとヘルプも十分なので、初見プレイヤーにも親切な設計だと感じます。

惜しかった点は、やはり日本語翻訳の品質が低く、没入感を削いでしまっていること。それと、ゲーム内時間を任意で飛ばせないことや、モッサリとした戦闘、めんどうなクリック作業による建築、などシステムの荒削りな部分が気になりました。

しかし、オープンワールドマップはかなり広く、クエストも豊富でボリュームは抜群で、早期アクセスながら十分プレイする価値はあると感じました。

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