「350yd、飛びすぎじゃない?」 骨折からの再起を図る新村駿

杉浦悠太の1学年先輩(撮影/大澤進二)

◇国内男子◇For The Players By The Players 最終日(12日)◇THE CLUB golf village(群馬)◇7172yd(パー71)◇曇り(観衆1032人)

12番(パー5)。振り切ったつもりはないのに、1Wショットは350yd近く飛んでいた。「飛びすぎじゃない?」とキャディと首をひねった新村駿は、この日6個目バーディを奪った。12位から出た最終日に7バーディ、2ボギー「67」をマークして12ptを加算。通算33ptまで伸ばして4位。ツアーはアマチュア時代の1試合を含め4戦目で初の予選通過だから上出来だ。

長野県出身の23歳は2022年12月にプロ転向し、23年に日大を卒業。持ち味のひとつは平均でキャリー305yd前後のビッグドライブだが、思い切りクラブを振れるようになったのは最近だった。

大学4年の22年、クラブを振った瞬間に腰を骨折した。「大学のリーグ戦、プロテスト、QTと、7週間くらいラウンドしっぱなしで、長距離運転も続いていた」と疲労が溜まり、ティショットを打った瞬間に痛みが走った。立てなくなるほどの痛みで、診断名は「腰椎分離症」だった。

1カ月後に迫ったツアー出場をかけた予選会(セカンドQT)は断念しようと思っていたが、「一応、行ってみるか」と3日前に出場を決意。「振れないから…」とあきらめ半分で臨んだら上位で通過し、続くサードステージは「トップで通っちゃった」。気づけばツアー出場が見込めるファイナルステージまで進んでいた。

症状は改善してきたものの、冬場のプレーで痛みが再発。「とりあえずティオフはしないと順位がつかないから、ヨチヨチ歩きで…」となんとか2日目までプレーして棄権。94位で下部ABEMAツアーの出場権を獲得した。

レギュラーツアー4試合目で自己ベスト4位に入った(撮影/大澤進二)

腰の痛みが完治した今季はレギュラー出場資格がなく、今大会は推薦枠で出場した。昨年、スポットで参戦したレギュラー2試合は予選落ち。今週も初日60位と出遅れたが、49位で予選通過。決勝2日間で24ptを稼いで一気に順位を上げた。

「ツアーで上位に入るには、とんでもないくらいビックプレーを出し続けないといけないと思っていた。でも、自分の飛距離なら普通にできればチャンスはある」と自信をつけた1週間。シーズン開幕当初は今年末のQTを目標に据えていたが、いまは下部ABEMAツアーで賞金ランク上位に入り、来季レギュラー前半戦の出場権の獲得を目指している。

今回のトップ10により、次週「関西オープン」の出場も決定。「中途半端な順位では意味がない。行くなら、行く」と気合を入れた。(群馬県安中市/谷口愛純)

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