宝塚 月組トップ月城かなと 男役の正装・黒燕尾で本拠地を全う「芸名じゃない自分に戻るのはまだ早い」

 同期の星組トップ礼真琴から花束を受け取る月組トップ月城かなと

 7月に退団する宝塚歌劇月組トップスター・月城かなとが12日、兵庫・宝塚大劇場「Eternal Voice 消え残る想い/Grande TAKARAZUKA 110!」の千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。

 終演後に会見に挑んだ月城は、男役の正装・黒燕尾で大階段を下りた理由を「まだ東京公演があるので、芸名じゃない自分に戻るのはまだ早い」と明かした。大階段では陰から先に階段を下りた退団同期の後輩たちを見守り、「自分のことより、(退団者の)すがすがしい横顔を思い浮かべます」と、最後までトップとしての責任感ものぞかせた。それでも「少し泣きそうになったことも」と明かし、「涙はこらえ、それよりも感謝の気持ちを伝えたくて」と笑顔を浮かべた。

 花束贈呈には同期の星組トップ礼真琴が駆けつけた。礼が耳元でささやくと、月城も笑顔で返すなどほっこりムードに包まれた。だが内容については「秘密です!」とちゃめっ気たっぷりにこたえた。

 通常のサヨナラショーのラストはトップ一人だけや、組の全員を呼び込んで終わることが多い。だが「いままで一緒にやってきた相手役のサヨナラショーでもあるので、2人の中での一番思い出深い曲を」とトップ娘役の海乃美月と2人で迎えるなど、月城らしさが随所に現れたものになった。

 東京公演は6月1日~7月7日。「泣くのはまだまだ我慢。東京の千秋楽まで、笑顔で頑張りたいと思います」と全力疾走を約束していた。

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