【R18+】暴力とセックスと教会の欺瞞を挑発的に描いた“実話ベース”の衝撃作『ベネデッタ』はヴァーホーヴェン監督からの挑戦状!?【CS初放送】

『ベネデッタ』©2020 SBS PRODUCTIONS - PATHÉ FILMS - FRANCE 2 CINÉMA - FRANCE 3 CINÉMA

これが実話!? セックスと欺瞞に塗れた教会バイオレンス

2020年のカンヌ国際映画祭で話題騒然・賛否両論を巻き起こしたポール・ヴァーホーヴェン監督作『ベネデッタ』。17世紀の修道院を舞台に、「神のお告げがあった」と豪語するクセの強い修道女ベネデッタ(ヴィルジニー・エフィラ)の壮絶すぎる言動をドロッドロ官能たっぷりに描いた、しかも「実話ベース」の超衝撃作である。

17世紀イタリア。幼い頃から聖母マリアと対話し奇蹟を起こす少女とされていたベネデッタは6歳で修道院に入った。純粋無垢なまま成人したベネデッタは、ある日、修道院に逃げ込んできた若い女性を助ける。様々な心情が絡み合いながら2人は秘密の関係を深めるが、同時期に<聖痕>を受けたベネデッタがイエスに娶られたとみなされ、新しい修道院長に就任したことで周囲に波紋が広がる。

民衆には“聖女”と崇められ権力を手にしたベネデッタ。彼女に疑惑と嫉妬の目を向ける修道女もいたが、その身には耐えがたい悲劇が起こる。やがて黒死病<ペスト>が流行し、そこにベネデッタを糾弾する教皇大使の来訪も重なり、町全体に更なる混乱と騒動が降りかかろうとしていた……。

“聖女”と崇められた尼僧の衝撃半生

『ロボコップ』(1987年)にはじまり、『氷の微笑』(1992年)や『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年)など、時代を反映した鋭い社会性と強烈なバイオレンス描写を両立させてきた名匠ポール・ヴァーホーヴェン。カンヌ映画祭の記者会見では本作について、「ルネサンス修道女物語:聖と性のミクロストリア」という大真面目な書籍をベースに脚本を書いたと語っている。

同書は1625年の宗教裁判の記録を調査したものだそうで、かつて“聖女”と呼ばれたベネデッタが別の尼僧と性的関係を持ったことが記されているという。フランスでは18世紀に入ってからも“同性愛の現行犯”で2人の男性が火あぶりの刑に処せられた事件があったくらいなので、17世紀当時、しかも修道院とあってはなおさら厳しかったはずだ。

そこに興味を惹かれたというヴァーホーヴェン監督。本作をラブストーリーとしてだけでなく、当時の教会におけるドロドロとした人間関係や権力争いなど、より重層的な物語にするべく脚色していったという。

ヴァーホーヴェン「どうして皆、セックスの問題になると……」

ヴァーホーヴェンが脚色しただけあって、本作には原作本にはない“衝撃シーン”がいくつかある。いわゆる“敬虔なクリスチャン”ならば鑑賞を止めてしまうであろう描写だが、「セックスの問題になると、どうして急にみんなが生真面目になるのかがわからない」と語るヴァーホーヴェンらしい演出としか言いようがない。

バイオレントでセクシュアル、けれど抜群のユーモアによって多くの映画ファンの心をつかんできたヴァーホーヴェン。『ベネデッタ』は2023年2月に日本公開もされたが、今回のCS初放送のタイミングで周囲の目を気にすることなく、じっっっくり鑑賞してみてはいかがだろう。

『ベネデッタ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年5月放送

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