将来年金がいくらもらえるか分からないのですが、平均して10万円くらいもらえるのでしょうか?

受け取れる年金額を知っている方はどれくらい?

Ueda Keisho Corp.が50歳~59歳の方を対象に、2023年11月に行った調査によると、自分の年金の受給額を知っている方は42%でした。つまり、6割近くの方は自分の受け取れる年金額を把握していないことになります。

さらに、年金受給額を確認するのに活用できる「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などのサービスは、知っていても利用していない方が46%と最も多い結果です。また、50代で年金受給開始時期を決めていない方は40%でした。

これらの結果から、半数近くの方は自分の年金に関する情報を積極的には集めていないことが分かります。しかし、年金の受給額を知っておくことで、老後に向けての貯蓄計画も練りやすくなります。

また、年金の平均受給額を知ることも、老後の生活を考えるうえでの参考になるでしょう。

年金の平均受給額

厚生労働省による「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計平均受給額は月額で14万4982円でした。老齢基礎年金のみの場合だと月額5万6428円です。

老齢厚生年金は会社勤めなどで厚生年金保険に加入していた方が受け取れます。老齢基礎年金は、国民年金保険に一定期間以上加入していれば受給可能です。

もし会社勤めの方が平均額を受け取るとすれば、月額10万円以上は受け取れることになります。しかし、フリーランスや自営業などで厚生年金保険に加入していなければ、老齢基礎年金のみの受給になるため、平均額から考えると月額5万円程度になるでしょう。

受け取れる年金額の計算方法

老齢基礎年金の受給額については、令和6年度の満額は月額6万8000円です。

一方、老齢厚生年金の受給額は、厚生年金保険に加入していたときの収入により変動します。報酬比例部分と呼ばれる年金を計算する際の基礎部分が受け取れる金額の目安です。

厚生年金保険に平成15年4月以降に加入していた場合、報酬比例部分は「平均標準報酬額×1000分の5.481×加入月数」で求められます。平均標準報酬額とは月収と賞与などの総額から算出される金額のことです。

そこで、計算式を基に、もし毎月最低でも月額10万円の年金を受け取りたい場合の月収を求めてみましょう。条件は以下の通りとします。

__●老齢基礎年金は令和6年度の金額で、保険料は全額納めている
●報酬比例部分を受け取れる年金額とする
●厚生年金保険の加入期間は22~60歳の38年間__

まず、10万円から老齢基礎年金の金額を引くと、老齢厚生年金では残りの3万2000円、年間38万4000円を受け取る必要があります。

報酬比例部分の式に当てはめると「平均標準報酬額×1000分の5.481×456ヶ月(38年)=38万4000円」です。計算すると、平均標準報酬額は約15万3641円なので、年金を最低でも月額10万円受け取るための月収目安は約15万3641円の計算になります。

50代の約6割が受け取れる年金額を知らない

今回参照したアンケート調査によると、50代の6割近くの方は自身の年金受給額を知らない結果でした。年金受給額を確認できるサービスの利用や、年金受給開始時期を決めている方の割合もあまり多くはありません。

また、年金の平均受給額は、令和4年度の時点で老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせて14万4982円です。10万円よりも多く受け取っている方が少なからずいることになります。

なお、もし将来最低でも10万円以上年金を受け取りたい場合は、厚生年金保険に加入しており、月収が約15万円強あればよい計算です。計算方法も日本年金機構から公開されていますが、ある程度受け取れる年金額を把握したいときはねんきんネットなども活用しましょう。

出典

Ueda Keisho Corp. 年金受給に関するアンケート調査(PR TIMES)
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II.厚生年金保険(2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移 (8ページ)、III.国民年金 (2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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