「光る君へ」道長が政権トップに立ち第二期へ…柄本佑が変化示唆

第19回「放たれた矢」より柄本佑演じる藤原道長 - (C)NHK

吉高由里子主演の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で、主人公・紫式部(まひろ/吉高)と惹かれ合う藤原道長を演じる柄本佑。4月28日放送の第17回「うつろい」から5月5日放送・第18回「岐路」にかけて兄の道隆(井浦新)、道兼(玉置玲央)が相次いで倒れたことによって道長は右大臣に任命となり、あっという間に公卿のトップに立つこととなった。柄本が、12日放送・第19回「放たれた矢」にかけて激動の時期を過ごした道長の心境を振り返った。19回放送後、公式Xなどで公開されたインタビュー動画「君かたり」内で語っている(※一部ネタバレあり)。

前話では道兼が道長の助けによって父・兼家(段田安則)との確執を乗り越え、念願の関白に。しかし、道兼は病に倒れ、関白の慶賀奏上からわずか7日間でこの世を去った。その跡を継ぐのは道隆の嫡男で内大臣の伊周(三浦翔平)か権大納言の道長か、と内裏で噂される中、道長の姉で皇太后の詮子(吉田羊)の必死の訴えによるものか、一条天皇(塩野瑛久)は道長に内覧宣旨を下した。

~以下、第19回のネタバレを含みます~

以前は野心とは無縁だった道長だが、まひろと交わした、直秀(毎熊克哉)のような無残な死に方をする者が出てこないような政をするという約束は片時も忘れることなく、疫病に苦しむ民のための救い小屋建設に心血を注いだ。まひろの「片時も目を離さず、誰よりもいとおしい道長さまが政によってこの国を変えていく様を死ぬまで見つめ続けます」という言葉、そして志半ばに死んでいった道兼の無念を胸に「民のための政」に邁進してきた道長だが、第19回ではついに一条天皇に右大臣に任命される。柄本はこの時の心境をこう語る。

「自分が今この右大臣という立場に持ち上げられるっていうのは、道長としては「絶対に僕はそんなに政治の方に行くタイプじゃない」というか、上の兄貴2人(道隆・道兼)がそっちの方に向かっていって僕自体はそこまで政治にはかんではいかないだろうというふうなところでやっているというところから、まひろとの約束もあるし、あとはやっぱり兼家さんにお父さんに「政とは家だ」って言われて、共感はできないけどやっぱり感じ入るところはあるというか。その2本の柱で政治に向かっていけるのかなっていうふうには思っていて。そんなところで状況の変化みたいなものが起きているんじゃないかなっていうふうに思いました」

一条天皇は道長に右大臣を任命した際、「この先関白になりたいのかなりたくはないのか」と問う。対し道長は「なりたくございません」ときっぱり。「関白は陣の定めに出ることはできませぬ。わたしはお上の政のお考えについて陣の定めで公卿たちが意見を述べ論じ合うことに加わりとうございます」とよどみなく答え、これまでの関白とは「異なる」道を歩みたいと話す。覚悟のようなものが伺える道長に対し、柄本は「第18回までの道長から第19回って自分としてはちょっと第二期に入るというか、見た目と共にちょっとハッキリした感じに変わったように見えるかもしれないですね」と考えを巡らせる。

「兄貴たちは家さえ守ってどんどんどんどんつなげていくことって言っていたけど、家をこうやってどんどんどんどんつなげていくことっていうのは民の生活もちょっとずつ豊かになっていくということと同時にあるっていうふうに考えているんじゃないかなと。偉くなりたいとかっていうことだけじゃなくて、実際に現場に行って自分も一緒にそこで考えるというふうなこと。だから道長としてはそういうふうに思っているんだけれども、そこに至るのは兄貴2人だろうと思っていたんだけど、たまたま自分が右大臣という立場にいきなり任命されて。だからそうなって非常にたくさん考えたんじゃないかと思いますね。だからそこのところで「あぁ、どうしよう悩んで…」っていうんじゃなくてむしろ「よしやるぞ」というふうな気持ちで。だからわりとさっきのところなんかも他の人とは違う道を俺は行くっていうのもわりと明確にちゃんと言って。どうだろう……観ている方がどう思うかわからないけど第18回までの道長から第19回って自分としてはちょっと第二期に入るというか、見た目と共にちょっとハッキリした感じに変わったように見えるかもしれないですね」

前話では、まひろと秘密の廃邸で偶然出くわすも一言も言葉を交わさず、心の中の声だけが聴こえるという斬新な展開が話題を呼んだが、第19回でもまひろへの強い気持ちが伺える描写が。一条天皇からまひろが参内したこと、まひろが政に独自の考えを持っていることを聞いた道長は、もう10年も官職を得られていないまひろの父・為時(岸谷五朗)の申し文を目にし、思いがけない決断を下すこととなった。まひろと実質的なつながりをもてたことにもなり、今後の二人の関係の発展に期待が高まる。(編集部・石井百合子)

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