凜/首都圏建設産業ユニオン書記長・清水致子さん、現場で働く人の支えに

全建総連傘下の組合機関で唯一の女性書記長に2月に就いた。組合員約1万4000人の「困り事に寄り添い、支える」ことが役割。中小零細の工務店など法人の加入者も4割含まれ、働き方改革の対応などに頭を悩ませる経営者にとってのバックヤード的な役回りもこなす。謙虚な姿勢と感謝の心、カインドネス(親切さ)という独自の「3K」をモットーに、現場で働く人たちに日々向き合う。
「自ら企画立案して進めてきたことの成果が目に見えてくるのが幸せ」と話す。組合書記になりたてのころ、資格取得を熱心に勧めても働き手のメリットとして魅力的に響かないことにショックを受けた。キャリア形成を巡る業界のジレンマを痛感したからこそ、建設キャリアアップシステム(CCUS)との出会いは鮮烈だった。セミナーを重ねて地道に理解を広げ、技能者登録料の肩代わりなど手厚い支援を実行。当初あった不信感を、少しずつ期待感に変えてきた。
社会保険未加入対策とCCUS登録促進を通じ、国や業界団体などの「多くの人との出会い、縁があった」。技能者が磨いた腕が正当に評価され、賃金や労働環境の改善につながっていく好循環を一緒に創造したいと意気込む。業界全体で長年の慣習を変える動きが顕在化しつつある今、将来を担う若い世代や女性には「可能性を信じて『自分ブランド』の仕事を確立できれば新しい景色が見えてくるはず」と背中を押す。
(しみず・ゆきこ)

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