斉藤鉄夫国交相/北海道新幹線札幌延伸先送りで見解、有識者会議で新たな開業目標検討

斉藤鉄夫国交相は10日の閣議後会見で、北海道新幹線の札幌延伸工事に関する見解を示した。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構から2030年度末の開業は困難との報告を受け、新たな開業時期を検討する有識者会議を開催する方針を表明。「(鉄道運輸機構の)報告内容が合理的であるのか、講じることができる方策がないかを精査していく」と説明した。開業目標については「できるだけ早期に示せるよう努める」と話した。
8日に鉄道運輸機構の藤田耕三理事長が斉藤国交相を訪問し、30年度末の開業を「極めて困難」と伝えた。トンネル掘削の発生土の受け入れ地の確保が難航していることや、掘削開始後に巨大な岩の固まりが見つかるなどして、複数の工区で3、4年の遅れが発生していると説明した。
札幌延伸について、斉藤国交相は「地元関係者の大きな期待がある」としプロジェクトの重要性を強調。「地元自治体など関係者に丁寧に説明し、協力しながら、着実な整備に努めていきたい」と話した。
JR北海道は北海道新幹線の延伸による収支改善を見込み、31年度に国の支援なしで連結最終損益の黒字転換を目指す計画だ。ただ、延伸開業の遅れによって、目標の達成時期が延びる可能性が出てきた。
国交省は経営再建に向けた支援を30年度まで行う。以降は「JR北海道の経営改善や北海道新幹線の状況を踏まえ、今後検討していく」(斉藤国交相)考えだ。

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