公共工事品確法など改正案/国と自治体の義務大幅拡充、入契調査踏まえ「勧告」可能に

今国会に議員立法として提出予定の公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と公共工事入札契約適正化法(入契法)、測量法の一括改正案の条文が明らかになった。建設業や関連業の担い手の処遇改善や働き方改革、地域の業界の維持などを目的に、国と地方自治体の義務規定を大幅に拡充。発注者の立場によらずとも、担い手の中長期的な育成・確保の支援措置などを講じる努力義務を課す。国の新たな権限となる公共発注者への「勧告」は、入契法に基づく毎年度の実態調査(入契調査)を踏まえた行為と位置付ける。
国会審議を経て成立すれば、2025年4月1日に施行する測量法の改正部分を除き、公布日から施行する予定。
公共工事品確法の改正では第4章「公共工事の品質確保のための基盤の整備等」を新設。同章の各条項を国と自治体の努力義務として規定する。国には労務費や賃金、休日の実態調査とその結果を踏まえた施策の実行、公共工事に関する技術の安定的な研究開発の推進と民間事業者間の連携促進を求める。
自治体も努力義務の対象に含める形で、職業訓練法人への支援や高校と業界の連携、多様な人材の確保を促進する。業界団体などと連携し災害時の活動などの重要性について国民の関心と理解を深める広報・啓発活動の充実にも努めてもらう。
発注者の責務への追加事項ではスライド条項の運用が目玉となる。公共工事標準請負契約約款上の規定にとどまる現状の位置付けを法律への明記で一段と高める。運用基準の策定と、それに基づく実際の契約変更を含めて義務化する。
入契法の改正では適正化指針に則した措置の実施を「勧告、助言、援助」できるとの権限を国に付与し、その際の判断材料として入契調査を用いる。市町村を含む全公共発注者を対象とする同調査で個別の実態を的確に把握し、これまで「要請」止まりだった国の働き掛けを強める。

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