小池都知事に〝伐採女帝〟の汚名 都知事選前に葛西臨海水族園リニューアルでさらなる逆風

学歴詐称疑惑などで、求心力を失いつつある小池百合子東京都知事

都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)で3選を目指すとみられる小池百合子都知事に頭の痛い問題が浮上してきた。葛西臨海水族園(東京・江戸川区)のリニューアルを巡って、地元住民や関係者から反対の声が噴出。神宮外苑の再開発に続き、小池都政にブーイングが飛んでいるのだ。

1989年に開園した同水族園は、今年で35年目。設備の老朽化やバリアフリーを理由に以前からリニューアルプランが持ち上がっていた。

建物はニューヨーク近代美術館を手掛けた世界的に活躍する建築家・谷口吉生氏の設計で、中でもガラスドームは同公園のシンボル的存在とあって、取り壊しには建築界を中心に反対の声が殺到した。ガラスドームの保存こそ決定したが、北側に位置する淡水生物館がある「水辺の自然エリア」に新たな水族館を建築する計画がまとまった。

開園前は埋め立て地で何もなかった同エリアだが、この35年で樹木が生い茂る都市部とは思えない自然の森に成長した。計画では、約1400本を移植や伐採することになり、待ったの声が上がっているのだ。

20日から水辺の自然エリアへの立ち入りができなくなることを前に、「葛西の自然を守る会」などが主催する見学会が12日に開かれ、130人が集まった。

水族園の開設当初から携わった関係者が多く駆け付け「これだけ立派に森として育ったのは素晴らしいことで、これを切るということが考えられない」「社会教育的な施設として作られたはずなのにテーマパークになっていくのか。商業化されていく流れに押しつぶされそうになっている」と声を上げた。

小池都政では築地市場移転で「築地は守る、豊洲を生かす」を掲げられたが、築地市場の跡地は多機能型スタジアムでの整備が決定したばかり。神宮外苑地区の再開発や日比谷公園の再整備計画などでも、強引ともいえる手法がヤリ玉に挙がっている。

「葛西の自然を守る会」の服部至道代表は「800本の木を移植しても川の流れは土とともにあり、生物や昆虫を守れない。小池さんは〝伐採女王〟〝伐採女帝〟と呼ばれているが、都知事選で代われば、この工事も変わるかもしれない」と話す。

13日に樹木伐採のストップを求める署名が都議会に提出され、23日には都議会委員会で取り上げられる予定。相次ぐ〝伐採問題〟は都知事選の争点になってきそうだ。

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