富山県小矢部市の桜井市長、本庁舎の現地建て替え「最適」 再整備へ市民と意見交換

本庁舎の再整備について、市民の前で市の方針を説明する桜井市長(右)=小矢部市民交流プラザ

 能登半島地震で被災した小矢部市役所本庁舎(同市本町)の再整備に関する桜井森夫市長と市民のタウンミーティングが12日、市民交流プラザで開かれた。市長は新しい本庁舎の建設地について、現在地を含む3案を示した上で、国の手厚い財政支援を受けられることなどから「現在地が最適と考える」と述べた。市民からはこの案を容認する声が目立った。市は今月下旬に建設地を決める。

 本庁舎は1964年築で鉄筋コンクリート造りの地上5階、地下1階建て。元日の地震で建物内外の壁やガラス窓の破損などが相次ぎ、専門家から再び大地震が起きた際の危険性を指摘された。このため、市は従来の耐震補強する計画を変更し、建て替えるか移転新築する方針を決めていた。

 建設地の3案は現在地のほか、クロスランドおやべ周辺の桜町遺跡出土製品管理センター(鷲島)と、移転新築が決まっている学校給食センター(赤倉)。被災した本庁舎を現在地で建て替える場合のみ、整備に国の「一般単独災害復旧事業債」を活用できる。借金で財源を確保するが、返済額の最大85.5%を国が地方交付税で手当てする。整備費を50億円と仮定すると、市の実質負担は約7億5千万円になるという。

 このほか、敷地面積は現在地が8978平方メートルで、他の2案がほぼ半分。現在地は来庁者用駐車場で、そのまま建築に入れるのに対し、2案は建物の解体などを経ての着工となり、完成までやや時間を要する。市の洪水ハザードマップによると、想定される浸水深は現在地が最大50センチで、2案は3メートル。

 市は新しい本庁舎について、最短で2028年度の利用開始を目指している。

 タウンミーティングは市民約60人が参加し、13人が発言。現在地での建て替えに賛同する声が多かった。一方、利便性の面から市の中央に位置するクロスランド周辺を推す意見も複数出た。市長は「正直な意見を多くいただいた。持ち帰って協議したい」と話した。

タウンミーティングで市長の説明に耳を傾ける市民
再整備する小矢部市役所本庁舎。現在地での建て替えが有力視されている=小矢部市本町

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