復帰の妃南 双子の姉・吏南に対抗心 成績トップ高校3年生の春「プロレスも勉強も本気で」【スターダム】

スターダムの後楽園ホール大会が12日に行われ、妃南(17)が左鎖骨の負傷による欠場から約4カ月ぶりに復帰。ななみ、レディ・Cと組み、渡辺桃&吏南&フキゲンです★組と対戦したが11分53秒、吏南にダイビングダブルニードロップからの片エビ固めで3カウントを許した。敗戦にも双子の姉への対抗心、所属するクイーンズ・クエスト(QQ)リーダーだった林下詩美にかけられた言葉を胸に前を向いた。

ファンからの「妃南」コールに背中を押されたが厳しい戦いとなった。フキゲンです★の独特な動きにペースを乱され、吏南からは顔を踏みつけられ、渡辺桃からは強烈な蹴りを受けた。吏南をチョークスラムなどで攻めるも、最後はヒザ爆撃に沈んだ。「負けてしまったんですけど、4か月ぶりに試合ができてうれしいです」と復帰への喜びを口にしつつ、「吏南に勝って、やりたいことがあった。負けてしまったので、次勝った時にしたいと思います」と悔しがった。

改めて試合を「トレーニングとリングの上では全然変わるので、そこが不安だったんですけど、リングではプロレスの楽しさを改めて感じられた気がしました。もっとプロレスをしたい」と振り返った妃南。18年10月13日、お互いのデビュー戦で勝利した双子の姉、吏南は1年間、8度の防衛を経てフューチャー王座を保持。「今は吏南しか見えていないですね。フューチャーのベルトを吏南が持っているからこそ、取りにいきたい気持ちが強い」と、対抗心を隠さなかった。

2つ年上の姉、羽南とともに3姉妹でスターダムのリングに上がる。フューチャー王座を10度防衛した羽南への挑戦経験はあるが、吏南に対してはまだない。「吏南を超えた、と思った時に挑戦したいと考えていたので、この1年間、まだそこに達していなかったのかもしれない」と、悔しそうに語った。吏南を「自分だけの見せ方を持っていて、技術はもちろんですが、表現力が特にすごい。若い世代ではトップなんじゃないか」と分析する一方、自身の強みを「気持ちが折れない、これと思ったら一筋でやるところはあります」と語り、負けん気を見せた。

欠場中の3月限りでQQリーダーだった林下詩美が退団。「リーダーがいなくなり、全員でQQを支えないといけない。詩美の存在は大きかったので、誰一人として手を抜けない。詩美との付き合いは長くて、新人王で戦った時は3分くらいで負けてしまった。形としては自分が先輩ですが、自分の方が先輩だという気持ちはなくて、人間としてもプロレスラーとしても尊敬できるところがありました」と語った。退団前には「お互いの道で頑張ろうね」とエールを送られたという。

QQとしても新たなベルトが求められるだけに、吏南への対抗心は一層強くなる。現在は双子で同じ高校に通っており、春から3年生に進級した。妃南は学年トップの成績を誇る。「進学については迷っています。プロレスも勉強も本気で頑張って、自分の進みたい道を選びたい」。高校生レスラーの瞳に、強い意志が宿った。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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