「うわっ」(衝撃音)
「緊急通報を開始しました。ヘルプネット(=緊急通報サービス会社)に接続しています」
タクシー運転手「あれは向こうが徐行でしょ絶対。こっちが青やけん」
機械音「ヘルプネットを呼び出しています」
緊急通報サービス会社「ヘルプネットです。事故ですか?」
運転手「事故です」
サービス会社「救急車は必要ですか?」
運転手「けがされてません?」客「大丈夫です」
サービス会社「救急車は必要ですか?」
運転手「救急車はわかりません」
サービス会社「事故の相手は乗用車ですか?」
運転手「えっと、パトカーだったと思います」
サービス会社「パトカー?」運転手「はい」
サービス会社「パトカーですか?」運転手「パトカーです」
運転手の男性がパトカーと思ったのも無理はありません。ぶつかる瞬間、覆面パトカーに取り付けられる赤色灯がはっきり見えたのですから。
しかし、警察のものとみられた赤色灯は、文字通り、真っ赤な偽物でした。
タクシー運転手(61)「え?警察じゃなかったの?って。0.5秒遅れてたら僕に直撃でどうかなってた」
記者「事故現場となったのは、西鉄福岡駅前の見通しのいい交差点でした」
2月17日午前1時半すぎ、福岡市天神の渡辺通四丁目交差点で事故は起きました。
警察によりますと、南から北へ走っていた車が、覆面パトカーのように赤色回転灯を車の上に置いてサイレンを鳴らし、「交差点に進入します」と拡声器で言いながら、赤信号の交差点に入りました。
そして中洲方向に向かっていたタクシーと出合い頭に衝突したということです。
警察に押収された車内には、当日付けたとみられる赤色灯のほか、サイレンの装置それにマイクなど「覆面パト」偽装セットがそのまま残されています。
記者「午後1時すぎです。本村陸容疑者が中央警察署を出てきました」
運転手ら4人にけがをさせたとして、危険運転致傷の疑いで逮捕された、運転していた本村陸容疑者(24)と、助手席に乗っていた仰木康汰容疑者(25)が9日送検されました。
2人は警察に興味があり趣味を通じて知り合ったということです。
当日は本物のパトカーを発見し、何が起きるかを見るためにわざわざ、あとを追って交差点に進入したという趣旨の話をしています。
事故にあったタクシーは納車されたばかりでしたが、修理代が200万円以上に嵩むことから、新車に買い替えることにしたといいます。
タクシー運転手「大破ですね。走れないでしょ、これ。車がないとできない仕事です。その収入が全くないわけですからね」
警察は迷惑極まりない「偽装」の目的などを詳しく調べる方針です。