巨人移籍で防御率1.37も「本調子ではない」 真価が問われる元新人王…専門家が分析

巨人・高橋礼【写真:荒川祐史】

高橋礼は毎回8安打を浴びるも6回1失点…7登板でリーグ3位の防御率1.37

■ヤクルト 3ー1 巨人(12日・神宮)

巨人・高橋礼投手は12日のヤクルト戦(神宮)に先発し、6回を8安打1失点の粘投を見せた。今季3勝目こそお預けになったが、再び規定投球回に達し、防御率1.37はリーグ3位タイ。ソフトバンクからトレード移籍してきたサブマリンについて、野球評論家の新井宏昌氏は「真価が問われるのは交流戦明け」と指摘した。

ヤクルト打線に毎回安打を浴びるも要所を締めた。1点リードの6回、先頭のサンタナに左翼席へ同点の5号ソロを浴びた。なおも2死二塁のピンチを招いたが、代打・川端を右飛に打ち取り最少失点で凌いだ。チームを勝利に導くことはできなかったが、ここまで7試合全てに先発し2勝1敗、防御率1.37とローテの一角を担っている。

新天地で復活の兆しを見せる右腕だが、ソフトバンク時代を知る新井氏は「数字的には素晴らしいものを見せているが、内容的にはボールのキレ、制球力は本調子ではない」と見ている。特に左打者に対しては内角を攻め切ることができず、甘く入ったコースを痛打される場面があるという。

この日も、長岡には逆方向に3安打され、武岡にも2安打と外角球を運ばれた。アンダースローの投手が成功するには変則的なフォームだけでなく、浮き上がるような球の伸びとキレが必要になる。新井氏は全盛期を知るだけに「本来の姿ではない」と、あえて注文をつけた。

「左打者は出所が見やすいので、同じようなボールが続くと合わせやすい。強引に打つ打者はひっかけるが、逆らわない打者には捉えられる。まだ球威がないので、ファウルにならずフェアゾーンに打球が飛び、制球もアバウトなら野手の正面ではなくヒットコースに落ちる」

ただ、巨人に移籍したことでメンタル面での変化はあるという。新井氏もトレード移籍(南海から近鉄)を経験しており「移籍した年は勝負の1年。結果を残さなければ選手生命を左右する。精神面での開き直りがいい方向に向くこともある。彼の場合は序盤に結果が出たことで、四球を出しても、ある程度の切り替えができ、打者と勝負できている」と述べる。

自身の強味を生かし、新天地でさらに飛躍できるか。「まだ、セ・リーグの打者は対戦慣れをしていない。打者が慣れてきた時に、どのような投球を見せるか注目したい」。2019年に12勝をマークし、新人王に輝いた右腕の“完全復活”に期待したいところだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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