クオールHD 決算/3月期営業利益12.3%減、新店舗・感染者対応で運営コスト増

クオールホールディングスが5月10日に発表した2024年3月期決算によると、売上高1800億5200万円(前年同期比5.9%増)、営業利益83億2400万円(12.3%減)、経常利益92億5600万円(8.3%減)、親会社に帰属する当期利益48億8000万円(13.7%減)となった。

1月に発生した令和6年能登半島地震では、社員の人的被害はなかった。一方、石川県の3店舗では一時休業したが、全国から約70名の社員を派遣し、「医療の継続」を最優先に医療の提供につとめてきた。クオール能登町薬局では、断水が続き営業再開に時間を要したため、行政に確認のもと能登町立松波中学校に仮設店舗を開設。日本赤十字社を通じて義援金の寄付および市町村への支援も行った。

2023年から第一三共エスファの連結子会社化を進め、2024年4月に連結子会社化したが、同社の受け入れ体制整備などの費用発生により、持分法による投資利益は当初の見込みを下回っている。

保険薬局事業の売上高は1650億9900万円(6.3%増)、営業利益は107億3000万円(6.7%減)。

前期に実施したM&Aや新規出店の寄与、在宅・施設調剤の推進および流行性感染症の感染者数の増加などで、受付回数・運営コストが増加した。薬価改定と調剤報酬の改定に係る地域支援体制加算の経過措置終了などで、薬剤料・技術料単価は低下している。

新規出店18店舗、事業譲受3店舗、子会社化による取得14店舗の計35店舗増加した一方、閉店により7店舗減少した結果、事業全体で店舗数は920店舗となった。

薬局運営では、新たな事業の柱としている在宅・施設調剤で、在宅調剤の全店実施に向けて取り組むとともに、在宅基幹店を増やすことで受け持つ施設数を大幅に増やしている。加えて、サントリーウエルネスとの健康支援に関する協業を2023年4月より開始。同社の健康食品を取り扱い、薬剤師からの説明を通じて適切な理解を促進することで、未病領域への取り組みを拡大している。

9月には薬局DX推進コンソーシアムの理事企業として、「調剤業務の一部外部委託」を内閣府地方創生推進事務局へ共同提案したほか、2024年4月付で、中核子会社であるクオールで、日本緩和医療薬学会の「在宅緩和ケア対応薬局」の認証を取得。質の高い緩和薬物療法を通じて、緩和ケアを必要とする患者をサポートし、地域コミュニティへ貢献していく。

2025年3月期は、売上高2700億円(50.0%増)、営業利益150億円(80.2%増)、経常利益152億円(64.2%増)、親会社に帰属する当期利益57億円(16.8%増)を見込んでいる。

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