「前進してゴロを捕るな!」と侍JAPAN監督/井端弘和が語る理由とは!?【少年野球 デキる選手はやっている「打つ・走る・投げる・守る」】

教えて井端さん!守備で大事なのは「とにかくアウトに取る」こと

走攻守3拍子そろう井端弘和氏だが、特に守備はゴールデングラブ賞を7度も受賞したレジェンドである。「守備の基本」をどう考えているのか。

「前進してゴロを捕るな!」の理由

井端弘和の答え

ゴロ捕球も同じです。よく「前に出て捕れ」と言われますが、初級者の段階では誤った指導です。逆に私は「前に出て捕るな」と教えています。「捕球」自体がまだ怖い。どうやって捕っていいのか自信がないのに、前に出れば出るほど難しい。「前進」と「捕球」、どちらも中途半端になります。だから、まず前に出ないで、その場で「待って捕る」のが優先なのです。

ゴロ捕球の基本は3歳までにあると思いませんか。球を転がしてあげると、前に出ず、自分のところにきてから手を伸ばして捕る。少し背が伸びたら、低い球には腰をかがめる。だから、捕球態勢としては「股を割る」。つまり上半身脱力、股関節の上に上半身をのせます。グラブが地面に着くまで腕を下げます。その姿勢で捕球するのです。グラブの動きは「下から上」です。

極論すれば、そこまでに1年を要してもいい。捕球が完全にできるようになったら、捕りやすい「バウンドの上がり際(ショートバウンド)」に合わせて捕れるように、初めて前に出ればいい。左足の後ろに右足もつけてあげます。そうすれば次に自然と左足を前に踏み出して投げるようになります。つまり「左足(捕る)、右足(ステップ)、左足(投げる)」ですね。よく「左足の横で捕れ」と言われますが、捕るのは「体の正面」が基本だと思います。私は捕ってから速く投げるために、右足に体重をのせて、正面より右側で捕球していたくらいですから。

【出典】『少年野球 デキる選手はやっている「打つ・走る・投げる・守る」』 著:井端弘和

【書誌情報】
『少年野球 デキる選手はやっている「打つ・走る・投げる・守る」』
著:井端弘和

侍JAPANの日本代表監督、井端弘和氏が指導する少年野球の基本的プレー解説書。野球の根幹になる「打つ」「走る」「投げる」「守る」の4つのプレーに関して、初級・中級・上級の難易度別にステップアップできるよう写真とイラストで丁寧に解説します。世界を代表する選手も、日本の部活でプレーする選手も、この4つの基本に関して特別違うことをするわけではありません。確実にプレーを習得しステップアップしていくことで、世界レベルの基本に迫れます。「教えて井端さん」の野球コラムも章ごとに掲載。少年野球をプレーする生徒、指導者にとって、基本を見直したり、知ってるようで知らなかったプレーを見直す、必読の一冊です。

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