【宮島ボート・GⅡレディースAS】守屋美穂がコンマ02の一発回答SでV「前を向けるきっかけをもらった」

トロフィーを手に笑顔の守屋美穂

ボートレース宮島のGⅡ「第9回レディースオールスター」(優勝賞金490万円)は12日、12Rで優勝戦が行われた。気温17度で追い風2メートル。厳島神社が雨に霞む水面で静かに始まったレースは、インからコンマ02という究極のスタートで飛び出した守屋美穂(35=岡山)が、地元Vに燃える実森美祐のまくりを寄せつけずバックから独走。そのまま先頭でゴールを駆け抜け、通算35回目の優勝を4回目のGⅡ制覇と第6回大会に続く「レディースオールスター」2回目のVで飾った。

5日目とはコンディションがガラリと変わったGⅡの優勝戦で人気を背負った1号艇。準優11Rでは悪夢の4艇Fが出ており、〝勝ちたい気持ち〟と〝スタート事故はできない〟気持ちがせめぎ合ったはずだが、守屋が出した答えがコンマ02の「全速」スタートだった。これ以上は望めない一発回答。振り返れば準優12Rでも、11Rの集団Fに動揺することなくインからただ一人ゼロ台の踏み込み(コンマ08)を決めており、ターンやテクニック以前に精神力の強じんさには恐れ入る。

4月の地元児島GⅠ72周年記念では、準優でFというペナルティ付きの手痛い失敗をしているにもかかわらず、それで萎縮するどころか、失敗さえも糧にしてパワーアップしたのか――。

「児島でFを切った次の節は気持ちの浮き沈みがありました。でも、2節目に会った人(選手)から前を向けるきっかけをもらいました。自分の可能性を信じてくれているんだなと」

ネガティブな気持ちとは縁を切り、前を向いた姿勢こそが快速機を引かせたともいえる。今節は「伸びだけ、の足からターン回りも良くなり、すごくいい相方だった」と節一パワーに仕上がった73号機の後押しも確かにあった。とはいえ、8戦7勝でシリーズを支配した原動力は機力というより守屋美穂という選手の総合力だろう。これで女子賞金ランクも首位に躍り出たが「賞金の話はあまりしない方がいいかな。今後の抱負もノーコメントで」と見つめるのはあくまでも自身の足元だ。人間力を強化した守屋が次走・多摩川SG「オールスター」で放つ輝きを見逃してはならない。

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