山崎賢人主演『陰陽師0』の佐藤監督、熱心なファンからの質問に感謝

映画『陰陽師0』特別ティーチイン付き上映イベントに登場した加門七海、佐藤嗣麻子監督、岡野玲子

山崎賢人(崎=たつさき)が主演を務める映画『陰陽師0』(公開中)特別ティーチイン付き上映イベントが12日、新宿ピカデリーにて開催され、佐藤嗣麻子監督、呪術監修を務めた加門七海、漫画「陰陽師」の作者・岡野玲子が登壇。熱心なファンからの質問に答えた。

本作は、平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明の活躍を描いた夢枕獏の小説シリーズを原作にした時代劇。晴明が陰陽師になる前の知られざる学生時代を描いた完全オリジナルストーリーで、晴明が貴族から怪現象の解決を依頼されたことをきっかけに、平安京を脅かす巨大な陰謀と呪いに挑む姿が描かれる。

平安中期は、もともと文献は残されているが、ビジュアルの基となる資料が少なかったという。佐藤監督は「今回描いている時代は『源氏物語』よりも50年ぐらい前の時代」と語ると「『源氏物語絵巻』に装束の絵が描かれていますが、あれも『源氏物語』が描かれてから150年ぐらい経っている。絵巻からは200年ほど前の時代のお話なので、あまり参考にならない。ものすごく資料を探しました。そこで昭和39年に出版された『日本の服装』という本を参考にしました」と苦労したことを明かす。

また主人公である安倍晴明について、加門は「今回の大河ドラマ(『光る君へ』)では、政治的な駆け引きのうまい人物と表現されていますが、わたしも間違いないと思います」と語ると「深い意味では、人間の欲望を見続けてきた人で、それを利用することも傍観することもできた人物」と位置づける。佐藤監督も「加門さんが、唯一神になった陰陽師と仰っていましたが、それだけの何かを持っていた人物なのかな」と語ると、岡野は「とても真面目な官人だったと思います。藤原氏に従順だった人物だと思います」と話した。

ティーチインでは、何度も観たというファンから鋭い質問も。「平安時代の靴はあんな感じだったのか?」と質問されると、佐藤監督は「あそこまでアクションができる靴があったかというと微妙ですが、しっかり走れるぐらいのものはあったと思います」と回答。また「陰鬱としたなかで、花が印象的だったが、その解釈は?」という質問に、岡野は「髪に季節の花をさすことで、霊力を身につけるという意味があった」と説明していた。

熱心なファンからの質問に感謝を述べた佐藤監督は「公式な映画のイベントはこれが最後になるかもしれませんが、呪術がどうやって人にかかって、解けていくのかを描いた映画。現代社会でも使えるヒントがあると思います。人から言われたことをすべてうのみにしないで、一度全部取っ払って考えると見えてくるものがあると思います」と映画の解釈の一つを提示していた。(磯部正和)

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