トヨタが8度目のポルトガル制覇、ランチアとシトロエンに並ぶ。GRヤリス・ラリー2のWRC2初優勝も達成

 5月12日(日)、WRC世界ラリー選手権第5戦『ラリー・ポルトガル』の競技最終日となるデイ4が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは4台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走。首位で最終日を迎えたセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)は、リードを守り切る的確なペースでのアタックを決め、見事第4戦クロアチア・ラリーから続く2連勝を飾った。

 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は、多くのアクシデントに見舞われながらも的確に対処し続け、総合6位でフィニッシュ。ポイントランキング2位の座を守り抜いた。

 大会三日目でのデイリタイアから再出走した勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)とカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は、日曜のみの総合順位でポイントを競う“スーパーサンデー”で順位を得る走りを見せ、それぞれ総合29位、総合31位で完走した。

2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル 4台体制で臨んだTGR-WRTのクルー

 ラリー・ポルトガルの最終日は、ポルト近郊マトジニョスのサービスパークを起点に、2本のステージを途中にサービスを挟むことなく各2回走行。4本のステージの合計距離は62.18kmであった。

 大会最終日を迎えたポルトガル北部の空は雲が多く、ステージの一部は濃い霧に覆われるなど、視界状況に不安が残るなかで戦いがスタートした。

 前日のデイ3で、総合2位のオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1)に11.9秒差をつけて首位に立ったオジエは、霧に覆われたデイ4オープニングのSS19でベストタイムを記録。タイム差を18.1秒に拡げ、優勝争いの主導権を握る。

 続くSS20では3番手タイム、SS21では4番手タイムとややペースを落としながらも、リードは10.1秒にキープ。そして迎えた最終ステージのSS22を4番手タイムで走り抜いたオジエは7.9秒差で首位を守り切り、前戦クロアチア・ラリーに続く今シーズン2勝目を獲得した。

2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)

 オジエは開幕戦ラリー・モンテカルロでの総合2位を含め、今季出場した3戦すべてで表彰台に登壇しており、今回の優勝で自身のラリー・ポルトガルでの通算優勝回数を『6』に伸ばした。オジエは既に2017年の優勝で伝説的なドライバーであるマルク・アレンの持つ5勝の最多勝利記録に並んでいたが、今回の優勝により単独トップとなっている。

 そしてTGR-WRTとしては、WRCのカレンダーに含まれなかった2020年を除き、ポルトガルではこれで2019年から5大会連続となる優勝。また、WRCとして開催されたラリー・ポルトガルでのトヨタの通算優勝回数は『8』となり、ランチアとシトロエンが持つポルトガル最多勝利記録に並んだ。

 なお、サポート選手権のWRC2クラスでは、テオ・マーティン・モータースポーツのヤン・ソランス/ロドリゴ・サンフアン組が、トヨタGRヤリス・ラリー2にWRCイベントでの初優勝をもたらした。開幕戦モンテカルロでのWRC2デビューから、わずか5戦での初勝利達成となった。

 2024年WRCの次戦『ラリー・イタリア・サルディニア』は、ヨーロッパ・イタリアに位置するサルディニア島を舞台に行われる。今回同様にグラベル(未舗装路)のラリーとなるが、速度の高いステージ構成かつ、全体的に道幅が狭く、すぐ近くに木や岩がせり出しているために高いコントロール能力が求められる難ラリーだ。2024年シーズン第6戦目となる『ラリー・イタリア・サルディニア』は、5月30日(木)から6月2日(日)にかけて開催される予定だ。

2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル 総合優勝を飾ったセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)
2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル WRC2クラス表彰式
2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル WRC2クラス優勝を飾ったヤン・ソランス/ロドリゴ・サンフアン(トヨタGRヤリス・ラリー2)
2024年WRC第5戦ラリー・ポルトガル 大会最多となる6度のステージウインをあげたサミ・パヤリ/エンニ・マルコネン(トヨタGRヤリス・ラリー2)

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