川西拓実×桜田ひより×井之脇海×栁俊太郎に聞く“1人がいい? みんながいい?”「僕はめっちゃ1人です!」

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青春という言葉を聞いて思い出すイメージは、人それぞれだ。輝く水面のような眩しい光景を浮かべる人もいれば、深い水の底のような孤独と鬱屈がよぎる人もいる。

ただひとつ共通して言えることは、青春はいつも青い色をしていたということ。透き通るような、あるいは目を背けたくなるようなブルーが似合う季節を、人は青春と呼ぶ。

絶賛公開中の『バジーノイズ』は、そんな青い季節を切り取った映画だ。むつき潤の同名コミックを、『silent』の風間太樹監督が映画化。音楽以外、何もいらないと思っていた孤独な青年が、人と人との関わりを通じて自分の弱さと強さに向き合う姿を、唯一無二のブルーのトーンで描いている。

眠れる才能を秘めながら、ずっと心を閉ざして過ごしていた青年・清澄役に川西拓実(JO1)。清澄の音楽に惹かれ、清澄を外へと引きずり出すきっかけをつくるヒロイン・潮役に桜田ひより。潮の幼なじみで、レコード会社勤務の航太郎役に井之脇海、清澄とバンド「AZUR」を結成するベーシスト・陸役に栁俊太郎と旬のキャストが揃った。

数々の名作が誕生した青春音楽映画というジャンルに、また新たな1ページが加わろうとしている。

栁くんは、僕のなりたい像なんです

――現場で一緒の時間を過ごすことも多かったと思いますが、「この人のココがすごい!」と感じたところを教えてください。

川西 僕はもうみなさんですね。……ズルい?

一同 ズルい。

川西 すごい!今、全員から「ズルい」って言われた(笑)。

桜田 ここは1人に絞りましょう。

川西 1人ですか……。じゃあ、やっぱり栁くん。栁くんは、僕のなりたい像なんですよね。スタイルも良くて、顔もオシャレ顔じゃないですか。

桜田 確かに。

川西 というか、この作品に出られている方、みなさんめっちゃオシャレ顔じゃないですか。井之脇くんも桜田さんもだし。

井之脇 本当ですか。

川西 この場にはいないけど、(円井)わんさんも。なんか、俺だけ何もないなって。

いやいや、そんなことないって。

川西 ちょっと、顔をイジろうかなと思いました。嘘です。冗談です(笑)。

――では、桜田さんはどうでしょう。

桜田 え〜。……みなさん?

川西 ズルい。

桜田 ですよね(笑)。私もあえて1人に絞るなら栁さん。みなさんそれぞれ持って生まれた個性や魅力があると思うんですけど、栁さんには栁さんにしか出せない佇まいがあって。以前、私が中学3年生のときにご一緒させていただいていて。今回また共演できるとなったとき、栁さんのあのカッコいい佇まいを近くで見られるのがとにかく楽しみでした。

もう帰っていいですか。このうれしい気持ちのまま帰りたい(笑)。

桜田 それくらい私の中で小さい頃に見た栁さんのカッコいいイメージが色濃く残っていました。

「桜田ひよりすごいな」と打ちのめされました

――井之脇さんはいかがですか。

井之脇 僕は桜田さんですね。殻に閉じこもった清澄を外へ連れ出すために、航太郎と陸が失踪した潮のもとを訪ねるシーンがあるんですけど、そのときの桜田さんが台本を読んで想定していたより、純度の高いお芝居をされてて。

やばかったね、あそこ。

井之脇 わかりやすい言葉で言えば涙が出ちゃうみたいなお芝居で。でも正直、台本を読んだときに僕らの中ではそういうイメージではなかったんですね。なんならその後に僕と栁さんとでちょっとちょけるくだりがあったんですけど、段取りから桜田さんが真に迫ったお芝居をされて、僕らは「あの芝居をやられちゃったら、この後もう何も言えないよね」って感じでした(笑)。

2人で「すごいね」って話してたもんね。

井之脇 もちろん他のシーンも全部すごかったですけど、特にそのシーンは「桜田ひよりすごいな」と打ちのめされましたね。

何回涙出るんだよって。涙腺が壊れるんじゃないかと心配になるくらい、パワーのあるお芝居でした。

桜田 恥ずかしいですね、これは(照)。

川西 僕も初号試写でそのシーンを観たとき、すごく印象に残りました。何と言うか、内から出てくるものを隠そうとするけど隠せないっていうのが伝わってくるお芝居だったんですね。僕がお芝居のことを語るのはおこがましいですけど、“すげえな”って思いましたね。

桜田 潮はきっと、もうAZURは自分がいなくても成立する空間になってるんだろうなと想像しながら生活していたと思うんですね。その寂しさを体の中に取り入れて臨んだので、悔しさとか切なさが溢れてきて、気づけばああいうお芝居になっていました。

――では、栁さんもお願いします。

僕は川西くんですね。みんな、聴いてないのかな、川西くんの生歌。

桜田 聴いてないです。

川西 そっか。レコーディングのとき、一緒だったのは栁くんだけだったから。

あの生歌はやばい。

桜田 うわあ。それは特権ですね。

しかも結構近くで聴けたんですよ。そのときの川西くんの声を真似しようとしても俺には出せない。やっぱり声の出し方がプロって違うんだなって圧倒されました。

川西 はず……(照)。ありがとうございます。

当たり前ですけど、カラオケでちょっと上手いくらいの人とはレベルが違う。あの生歌を聴いたら、やばいしか言えなくなりますね。

川西 こんな間近で褒められると僕の方が何も言えないです(照)。でも、本当に嬉しいです。

栁さんは大人なのに無邪気なところが素敵です

――4人一緒の場面も多かったと思います。振り返って、どんな思い出が甦ってきますか。

川西 井之脇くんと栁くんがとにかく大人なんですよね。まあ、僕も大人ですけど。

桜田 私も大人ですよ?

川西 あ、そうだ。確かに(笑)。

桜田 でも言ってることはわかります。井之脇さんと栁さんの大人の色気は培ってきたものが違うなって感じで。

俺なんてそうでもない。圧倒的に大人なのは海くんだよ。

井之脇 そうですか?

桜田 落ち着きが本当に大人ですよね。

川西 何でもできるし、物をめちゃくちゃ知ってる。

歩く辞書みたいな(笑)。海くんに聞けば何でもわかるみたいな。

川西 あとは、お2人とも動きがゆっくりなんですよね。そこが好きで、ちょっと真似しています(笑)。歩くときとか、わざとゆっくり歩いてみたり。

桜田 すごく覚えているのが、川西さんが栁さんに話しかけたいけど話しかけられないみたいなことを言ってたんですよ。だから、私たちがふざけて「元気モリモリ!」って言って遊んでいたのを、栁さんにも「元気モリモリやってください」って無茶振りしたら、すごく真面目に考えてくださって。5〜10分ぐらいしてから、私たちのところに来て「元気モリモリやるね」ってやってくれたんです(笑)。

川西 そう。ちゃんと振り付けまでつけて。

桜田 こういうのですよね(と、ガッツポーズ)。

川西 そう。こう!(と、ガッツポーズ)

桜田 そんな無邪気なところが、ますます素敵でした。

1人は寂しい。急にテレビ電話とかかけたくなる(笑)

――「早く行くなら1人で、遠くへ行くならばみんなで」という台詞がありますが、みなさんは1人の方が楽ですか。それともみんなと一緒がいいですか。

井之脇 仕事で言うなら、みんな派かもしれません。1人のカッコよさに憧れた時期もありますけど、やっぱり映画って1人じゃつくれないから。みんなで新しい発見をしながらつくっていくのが僕は楽しいですね。

桜田 私も仕事だと、みんな派かもしれないです。自分がどういう道を目指すのかも、事務所の方と話し合う中で明確になっていく。みんなで決めたひとつの道をみんなで一緒に進んでいくのは、映画づくりにも通じる部分があるのかなと思います。ただ、プライベートは完全に1人です(笑)。

川西 僕もプライベートはめっちゃ1人です。めっちゃ1人です。

めっちゃ1人、何回も言うね(笑)。

――川西さんはオフのときはどうしてるんですか。

川西 めっちゃ1人です(笑)。家で映画を観るなりして、絶対外に出ない。

――何日くらいまで1人で過ごせますか。

川西 ずっと平気だと思います。1人で家とか最高じゃないですか。できればひたすらおうちにいたいです。

俺は1人はちょっとキツイですね。話し相手がいないとダメ。家で1人でお酒を飲んでても結局寂しくて外に出ちゃうし。

――寂しくなると、無駄にいっぱいLINEとかしちゃうタイプですか。

酔っ払うとそうかもしれないですね。めっちゃLINE送るし、急にテレビ電話とかかけたりして(笑)。

桜田 え〜。見えないです。そのギャップがいいですね。

結構寂しくなっちゃいます。

桜田 私は実家暮らしなので、家に帰ったら家族もいますし、犬もいるので、みなさんの置かれている環境のような本当の孤独はまだ味わったことがないのかもしれないです。ただ、私も休みの日は家にいることがほとんどです。交友関係も広くはないので(笑)。

――1人で家で過ごすと決めた日に友達から会おうよってLINEが来たらどうしますか。

桜田 LINEが来る相手が1人しかいないんですよね(笑)。だから、その子限定というか、その子だったら夕方くらいからなら行きますけど。基本は1人で過ごしていたいです。

井之脇 難しいですね。1人は好きですけど、人と話すのも好きなんで。

海くん、山好きじゃない? 山に登るときは1人?

井之脇 1人で登ります。でも山に行くと、知らない人と喋ることが結構あって、それが楽しいんですよね。だから、結果、1人じゃないのかも。

確かに。それは楽しそう。

井之脇 でも、基本的に1人で計画して行動するのが好きなので、どちらかと言えば1人派かなと思います。

――では最後に、みなさんの青春の1曲教えてください。

川西 僕はMONKEY MAJIKさんの『Around The World』ですね。香取慎吾さんのドラマ『西遊記』が好きで、主題歌の『Around The World』にめっちゃハマったんです。使っている楽器が面白くて、メロディもいいし、声にも惹かれて。そこからMONKEY MAJIKさんのいろいろな曲を聴くようになって、他のジャンルの音楽に興味を持つようになったので、僕にとって音楽の原点みたいな曲です。

桜田 私が初めて好きになったアーティストはOne Directionさん。小学5年生のときに『Kiss You』を友達におすすめされて。それまで洋楽をあまり聴いたことがなかったので、「何だこの音楽!」と衝撃を受けたんですね。当時はまだスマホもウォークマンも持っていなかったので、リビングに置いてある家族用のパソコンを父が帰ってくるまでの間、1人で占領して、YouTubeでひたすらMVを観ていました。

井之脇 Fishmansの『いかれたBaby』です。18(歳)ぐらいの頃に映画監督の小林達夫さんから教えてもらって、そこからずっとことあるごとに聴いています。20歳になって夜更かしを覚えて、夜にベランダで『いかれたBaby』を聴いていると都会から遠くに連れて行ってもらえるような感覚になるんです。メロディーも、佐藤(伸治)さんの声も全部好きです。

僕はずっとサッカーをやっていて。地元のサッカーチームの応援歌がQueenの替え歌だったんですよね。スタジアムに行くと、いつもQueenをみんなで歌っていて。その応援歌を聴きたいがためにQueenのベストアルバムを買ったんですけど、それが僕が人生で初めて買ったアルバム。サッカーの試合前とか、よくQueenを聴いてモチベーションを上げていました。

取材・文:横川良明 撮影:友野雄

<作品情報>
『バジーノイズ』

大ヒット上映中!

公式サイト:
https://gaga.ne.jp/buzzynoise_movie/

(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会

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