結成16年以上のコンビが競う『THE SECOND』優勝本命芸人は? 注目の4組のYouTubeから分析

結成16年を超えたコンビが1対1の漫才バトルを繰り広げ、王者を決める『THE SECOND ~漫才トーナメント~』第2回大会の決勝戦が5月18日にフジテレビで放送される。

決勝進出芸人は、ハンジロウ、金属バット、ラフ次元、ガクテンソク、ななまがり、タモンズ、タイムマシーン3号、ザ・パンチ。ファイナリスト経験者が金属バットのみ、と昨年以上に予測不可能の大会となることは間違いない。今回はその中から注目したい4組のYouTubeの活動からその魅力を紐解きたい。

・タイムマシーン3号

まず最初に紹介したいのが、今大会の優勝候補筆頭とも言われている結成24年目のコンビ、タイムマシーン3号。M-1グランプリでは2005年と2015年、キングオブコントでは2012年にファイナリストになるなど賞レースの実績は申し分なく、NHKのネタ番組『爆笑オンエアバトル』では史上3組しかいない満点の545キロバトルを獲得している「客ウケの鬼」。デブ大喜利のスペシャリストである関太と的確なツッコミの山本浩司の漫才は安定感は抜群で、彼らが漫才で外してるところを見たことが無い。すでに「売れきっている」と言ってもいいタイムマシーン3号だが、ついに「王者」の称号を得るチャンスが巡ってきた。

2019年1月に開設したオフィシャルYouTubeチャンネルの登録者数は2024年5月現在90万人を突破し、芸人界でもトップクラスの人気を誇っている。その魅力はなんと言っても2人の仲の良さだろう。特におすすめなのは「雨の日に車内でのんびりドライブスルー朝マック」だ。タイトル通り、ただドライブスルーで朝マックを買い、くだらない話をしながら食べるだけの動画なのだが、情報量の波に流され疲れ切った我々の心と体を確実に癒やしてくれる。そして、そんな2人が漫才になると鬼神の如き強さを発揮するというギャップが本当にたまらない。THE SECONDでも色んな顔を見せてほしい。

・ななまがり

次に紹介したいのが、結成16年目のコンビ、ななまがり。TBSのお笑いデスゲームバラエティ『お笑いエスポワール号』や、水曜日のダウンタウンの企画『30-1グランプリ』で優勝を飾るなど、近年お笑いファンを中心に着実に知名度を上げている陰の実力者だ。「不審者」を極めたような森下直人のボケと、表情すら面白い初瀬悠太のツッコミは一度見れば二度と忘れることができないインパクトを誇っている。テレビプロデューサー佐久間宣行が運営する『NOBROCK TV』の人気企画「100ボケ100ツッコミ」シリーズに出演した際には「パラレルワールドから来た芦田愛菜」など文字に起こすといっさい意味が分からないネタを連発し、アシスタントの女性を困惑と爆笑の渦に巻き込んでいた。

彼らのYouTubeチャンネル「ななまがりのなんでもやりますチャンネル」でも独特すぎる世界観は爆発している。特に、森下直人の真骨頂とも言える「架空」シリーズは、長時間見れば精神に異常をきたしてしまうのではないかと思うほどの中毒性がある。THE SECONDでも、唯一無二のななまがりワールドで大会を滅茶苦茶にしてくれることだろう。

・タモンズ

3組目に紹介するのは、結成19年目のコンビ、タモンズ。マヂカルラブリー、囲碁将棋、ジェラードン、GAG、すゑひろがりずが所属する吉本興業のお笑いユニット『大宮セブン』に所属しており、これでメンバー全員が賞レースファイナリスト経験者となった。ボケ・安部浩章のハイトーンボイスから繰り出されるテンションが高いボケと、その手綱をしっかりと握りながら漫才を組み立てていく大波康平のツッコミが特徴のしゃべくり漫才が魅力のコンビで、ここ数年の劇場での場数は全組の中でもトップクラスだ。

YouTubeチャンネル『タモンズの漫才旅チャンネル~47都道府県への道~』ではそのタイトル通り、47都道府県を回る漫才ライブツアー『詩芸』のドキュメンタリー撮影しており、その土地土地での旅の様子を余すことなくファンに伝えてくれるのだが、中でも必見なのは大宮セブンの冠番組『それゆけ!大宮セブン』内で誕生したオリジナルのロケ車「大宮セブン号」に乗って盟友・囲碁将棋と共に横浜へと向かう回だ。苦楽を共にした2組だからこそできるトークは、ゆるい雰囲気ながら息ぴったりで決して短くない20分の動画時間が一瞬と感じられるほどの充実感だった。今大会、囲碁将棋は惜しくも「ノックアウトステージ16→8」でタイムマシーン3号に敗れてしまったが、彼らの闘志も乗せて最高の漫才を見せてほしい。

・ザ・パンチ

最後に紹介するのは、今大会最長芸歴を誇る結成26年目のザ・パンチ。『M-1グランプリ2008』のファイナリストやフジテレビ系列のショートネタ番組『爆笑レッドカーペット』でブレイクを果たしたコンビだ。「チャッチャチャース」の挨拶でお馴染みのパンチ浜崎と、「死んで~」と嘆くノーパンチ松尾のツッコミはキャッチーかつ破壊力抜群。近年はキャッチーさはそのままに、正統派しゃべくり漫才師としてその実力を着実につけてきた。彼らのYouTubeチャンネルは2年前から更新が止まっているのだが、新しいザ・パンチの片鱗を垣間見ることができる。

また昨年、千原ジュニアや陣内智則のYouTubeチャンネルに出演した際は、ブレイク後に受けた数多くの苦情や、闇営業事件での謹慎など、その波乱万丈な芸人人生を語っており、世間ではネタのイメージが強いザ・パンチのトークの上手さを存分に知ることができる。

今大会の「ノックアウトステージ16→8」では、キングオブコントチャンピオンのかもめんたるを相手に「292点」という高得点を叩き出し見事勝利。「今年はザ・パンチの年になる」との呼び声も高い。かつてと全く違う進化したザ・パンチの漫才に度肝を抜かれることだろう。

冒頭でも述べた通り、いっさい予測不可能。全員が優勝候補と言っても過言ではない。漫才を極めし猛者たちの死闘を覚悟して見届けたい。

(文=かんそう)

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