A東京vs琉球の運命のゲーム3、勝敗のカギは“リバウンド”

ゲーム1、岸本隆一の劇的3Pで琉球が勝利

5月10日、いよいよ始まったチャンピオンシップ(CS)のB1クォーターファイナルは、アルバルク東京(東地区2位)と琉球ゴールデンキングス(西地区2位)が有明コロシアムで激突し、ゲーム1からいきなりダブルオーバータイムに突入する白熱した試合となった。しかも20分遅れで始まった他会場の宇都宮ブレックス(東地区1位)vs千葉ジェッツ(ワイルドカード下位)戦の方が先に終了。そして、こちらの対戦は、残り9.3秒に琉球・岸本隆一の放った3Pシュートがゴールを射抜いてやっと決着がついた。

奇しくもこの対戦は、Bリーグ初年度、2016年9月に国立代々木競技場第一体育館で華々しく開幕戦を飾ったときと同じカードだった。

劇的3Pを決めチームメイトに迎えられる岸本

A東京が39分間リードも2OTで琉球・岸本が劇的決勝3P

CSを迎えた両クラブのチーム状況は対照的だった。A東京はレギュラーシーズンの終盤、セバスチャン・サイズを欠きながらも3連勝し、地区優勝には手は届かなかったがクラブ史上最高勝率でホームでのCSへ。一方の琉球は、CS直前に4連敗を喫するなど、西地区王者の座を名古屋ダイヤモンドドルフィンズに明け渡してのCS進出だった。

試合直前に琉球のエース・今村佳太は「苦しいシーズンを送ってきました。タフなディフェンスが持ち味のA東京とは我慢比べになる」とその対戦を見据えていたが、まさにゲーム1からその通りの展開となった。

今シーズンの両チームの対戦は1勝1敗の互角だったが、試合が始まるとA東京のリードで推移し、前半を終えて43-29。試合開始から常に主導権を握っていたA東京に対して、後半に入って琉球も必死に食らいついていくが、規律正しいチーム力での戦うA東京からなかなか逆転のチャンスを奪うことはできなかった。だが、4Qの残り42.7秒、アレン・ダーラムのシュートが決まって67-66と初めての逆転。その後、A東京もライアン・ロシターがフリースローを1本沈め、勝負はオーバータイムへ。さらに決着はつかずにダブルオーバータイムへと持ち越されてしまうが、琉球は残り9.3秒に決めた岸本の3Pシュートで81-80と再逆転し、ゲームセットとなった。

勝利の立て役者となった岸本は「4Qの最後の方で佳太がずっと引っ張ってくれていたから、(延長戦は)自分がやるしかないかなって。スタッツとしてどうだったのか分からないですけど、自分たちの強みはリバウンドなので、自分(のシュート)が外れても必ずフォローしてくれる選手がいるという思いもありました。それに、実際やっている感覚としてはもう理屈じゃない、前が空いがたらやっぱり行くべきだと思いました。ああいう状況においては迷うのがいちばん良くないから、そこはシンプルを心がけてやりました」と、勝ち星を手繰り寄せた決定打について語った。

CSでの先手必勝は大事な要素。琉球が先勝できた勝因は得点を奪われても「相手にモーメンタム(勢い)を作らせないディフェンスを徹底して相手に同じプレーを続けさせたことで、最終的にいい方向にいったのかな」と岸本は、この試合で自信を取り戻す要因になったことも強調した。

メインデルはゲーム2で16得点

“レオ様”の活躍とファンの後押しでA東京がシリーズをタイに戻す

ゲーム2は、試合開始からA東京がゲーム1の敗因を踏まえて、琉球のジャック・クーリーやアレックス・カークのインサイドプレーを許しても、岸本、今村らには絶対に3Pシュートは打たせない強固なディフェンスで苦しめた。さらにもう一つの敗因となった、琉球にセカンドチャンスを与えないディフェンスリバウンドをもぎ取る執念も見せた。

途中、A東京は主力のファウルトラブルに見舞われながらも、攻めては、“レオ様”の愛称で親しまれているレオナルド・メインデルのシュートやロシターの安定したプレー、CSで復帰したばかりのサイズをカバーする働きで、46-35と終始リードを奪って前半を折り返した。

だが、琉球も後半に入ると、「GO、GO、キングス!」の大声援をバックに、ヴィック・ロー、岸本の3Pシュート、今村のファストブレイクなどで徐々に点差を詰めていき、4Qの残り1分27秒には64-69でA東京の背中をとらえる奮闘。しかし、そこで踏ん張ったのがA東京。アルトゥーラス・グダイティスのディフェンスリバウンドへの執着心が光り、ゲーム1と同じ轍は踏まなかった。最後は琉球の岸本に3Pシュートを決められたが、73-69で逃げ切ることができたのだった。

この試合で攻防ともにMVP級の働きで貢献したロシターは、「まだシリーズは終わっていません。次に勝たないと何も意味がありません」と、ゲーム3の勝利をもぎ取る意気込み語った。また、デイニアス・アドマイティスHCは、「自分たちのターンオーバーを減らし、琉球さんにオフェンスリバウンドを取らせず、いかにディフェンスリバウンドをしっかり取れるかが鍵」と次戦に向けてのキーポイントを挙げた。

過去2戦では

ゲーム1:琉球44(14)-55(23)A東京
ゲーム2:琉球28(10)-36(10)A東京

となっており、2戦ともにA東京がリバウンドでは大きく上回っている。

1勝1敗となったこのカード。はたしてセミファイナルへと駒を進めるのは、3度目の優勝を狙うA東京か、ディフェンディングチャンピオンの琉球か――。ゲーム3は有明コロシアムで今夜19:05ティップオフだ。

※この原稿は月刊バスケットボールWEB()に掲載されたものです

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