鹿児島と宮崎両県にまたがる霧島連山に本格的な登山シーズンがやってきた。マンサクから始まった開花リレーのバトンはノカイドウ、ミヤマキリシマと引き継がれ、新緑の山々を鮮やかに彩る。多くの登山客を歓迎するように咲く初夏の名花を紹介する。
今季は全体的に開花が1、2週間早まっているらしい。連山の初夏を告げるえびの高原のノカイドウも例年より1週間ほど早く開花。4月12日に咲き始めたものの、花付きが悪く見頃も短かった。その代わりを薄黄色の花を咲かせるヒカゲツツジが務めてくれた。
大型連休の4日、高千穂峰に登った。濃霧で視界は真っ白、雨風も強かった。馬の背をなんとか歩き終えるともう一踏ん張り。頂上を目指して顔を上げると、斜面の岩場に咲く薄紅色の小さな花々が目に入った。この時期に山頂付近でしか見られないコイワカガミだ。福岡県筑後市の平井進二さん(56)は「花からエールをもらっているよう」。
連休明けの8日、中岳中腹ではミヤマキリシマが紅紫色やピンク色の花を付け始めていた。日当たりの良い場所では既に見頃の所もあり、登山客を喜ばせる。
ミヤマキリシマが終わるといよいよ夏本番。ナツツバキ、ノリウツギ、コガクウツギが続々と咲き、緑深まる山々を清楚(せいそ)な白が彩る。