大谷翔平選手の“風刺画”が物議 胴長短足「アジア人差別」批判も 画家は「大谷は社会の象徴」と説明

アメリカの老舗雑誌の表紙に、スイングをしている大谷翔平選手(29)を描いたイラストが掲載されているが、お尻のポケットからは札束が飛び出ているなど、その表現が物議を醸している。

11日から怒涛の13連戦となる、メジャーリーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は、驚愕の3試合連続ホームランで、早くも11号をマークし、まさに絶好調だ。

大谷旋風が止まらない中、アメリカの老舗雑誌「ザ・ニューヨーカー」最新号の表紙を飾ったのが、大きくバットを振る大谷選手の風刺画だ。

このイラストと、同じ画角の写真と比べると、イラストの大谷選手は実物よりも胴が長いように見える。

胴長短足で描かれているように見えるイラストをめぐって、SNS上では「アジア人だからこう描いたんじゃないの?」「実際の大谷はめっちゃ足長いのに!」など、「アジア人差別だ」と批判の声が上がっている。

このイラストを描いたのは、1993年から「ザ・ニューヨーカー」の表紙イラストを手掛けている、画家のマーク・ウルリクセン氏。

これまでに手掛けた表紙を見ると、マーク氏特有の画風が見えてきた。

ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手のイラストを見ると、アメリカ人であるジャッジ選手も、大谷選手同様に胴が長いように見える。そのほかのイラストも、多くが胴長で、大谷選手に限定せず、マーク氏の画風自体が上半身を大きく見せる傾向にあった。

しかし、このイラストには別の意味合いも指摘されている。

大谷選手のズボンのポケットからはみ出している“札束”は、何を意味しているのか?
イラストを描いたマーク氏本人に話を聞くと、「彼のポケットのお金は、プロスポーツにおける常識外れの給料に対する私の反応だ。彼が自分の銀行口座から1600万ドルがなくなっていることにさえ気づいていなかったことから、この(給料が高すぎる)点は明らかだ」と話した。

イラストが表していたのは、一般人とは桁違いの大谷選手の莫大な給料だという。

元通訳・水原一平被告による銀行詐欺で、大谷選手の口座から約26億円が盗まれたとされている事件について、気が付かないほど大谷選手が破格の給料をもらっているとの皮肉を込めたという。

このポケットの札束をめぐる風刺に、大谷ファンからは、「大谷は事実上の被害者で、何ら関与がないとわかったのにこの表紙かよ。不愉快だ」といった反発や、「表紙に選ばれたのは喜ばしいことだと思う」などさまざまな声が寄せられた。

大谷選手を風刺したイラストによって広まった波紋。イラストを描いていた画家のマーク・ウルリクセン氏も、野球を愛する1人だという。

マーク氏は、「私たちファンは60ドルの駐車料金、14ドルのホットドッグ、20ドルのビールで、選手らの莫大な給料を補助していることになる。この値段では家族を試合に連れて行くのはほぼ不可能だ。大谷は私たちの今日(こんにち)の社会の象徴であり、(高すぎる給料は)症状にすぎない」と話す。

ちなみにマーク氏は、ジャイアンツファンで、大谷選手のジャイアンツ入りを渇望していたという。

(写真:Shotime," by Mark Ulriksen (C) Mark Ulriksen & The New Yorker. First published as the cover of The New Yorker, April 13, 2024. Used by permission. All rights reserved.)

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